植物系レジャーの一つに、「お花摘み体験」というものがあります。特に、房総が有名ですが、北海道から九州まで、お花摘み体験のできる場所は、日本全国にあります。
この記事では、「お花摘み体験とは、およそどういうものか」を解説します。
お花摘み体験とは、文字通り、自分で花を摘み取って楽しむレジャーです。プロの育てた、切花出荷できるレベルの立派な花を、好きなものを選んで切り取って収穫します。要するに、果樹園の「○○狩り」の切花版です。
このレジャーの醍醐味は、生産者の現場に素人が入っていき、自分で選んだ花を自分で切り取り、切ったばかりの新鮮な切花をゲットできるところにあるのだと思います。
お花好きの方、花と緑のレジャーを満喫したい方、好奇心旺盛な子供さんに「体験型レジャー」をさせたい方などにお勧めします。
花摘みの料金は、たいてい「○本でいくら」になっているところが多いです。「○本でいくら」にも、下記のような色々なパターンがあります。
このタイプの料金制度が、現状では一番多いと思われます。たとえば、
「キンギョソウ 1本 100円・ ストック 1本 150円・ 菜の花 3本 100円・ポピー 10本 300円」
のような料金が決まっています。
この数字を見て、
「なんだ、そんなにたくさん安く取れるわけじゃないんだな」
と思う人がいると思います。なぜだか、お花摘み体験は、「定額料金で取り放題?」と思っている方がいるようなのですが、めったにそんなことはありません。(無いとは断言できません)
たとえば、
「どんな花でも、10本で〇〇〇円」
のような料金のことです。これは、主流な料金体系ではありませんが、お客さんには分かりやすいです。ただし、レストランのバイキングでもあり得るように、花のチョイスによっては、「よく考えたら割高?」という場合もあるのかもしれません。
【1】に似ていますが、「10本で」や「3本で」という縛りがありません。一番自由に花を選んで買えます。もしも、1本しか切りたくないなら、1本でも良いのです。
上記の【1】と【2】の場合、「あとちょっとだけ○○を足したい」というときの追加方法として、
↑このような対応になると思われますが、個人の農園に入れてもらったような場合、
「1本サービスしちゃう」
「この花はダメだけど、こっちの花ならもう1本サービスできるので、どう?」
などのヒソヒソトークになっていくことがあります。
でも、それはあくまでも先方にサービスする気があるときの対応なので、こちらがサービスされて当然と思うべきではありません。
営業目的ではなく、宣伝目的で花摘み体験イベントを開催するようなところは、無料でいくらでも取っていい、というスタイルで花摘みさせてくれるところもあります。たとえば、大きなレジャーランドのようなところで、「うちの開発したマーガレットのキャンペーンを行おう」という企業が、来園者に無料の花摘み体験イベントを開催する、というようなものがそれにあたります。
または、切花生産の盛んな土地の自治体が、「無料の花摘み体験」の希望者募集、などということもあるかもしれません。
こういうものは、情報をマメにチェックしていないと見つけられません。新聞の地方面や、自治体の告知ペーパーや、クチコミで探していくことになります。ネットで探すなら、「花摘み 無料」でググるのが早道です。
花摘み体験で営業しているところは、鋏も、花を包む紙や袋も用意しています。手ぶらで寄って大丈夫です。まれに、サンダル履きの人に、長靴を貸し出してくれるところもあります。
ただし、無料イベントだと、「花鋏や持ち帰り用バッグをご持参ください」のこともあるかもしれません。
お花摘み体験ができる場所は、「花畑」か、「ハウス」です。
花畑の場合、平地の中に人が歩ける道ができているか(要するに、広大な花壇の中に道があるような状態)、畝のある畑の中に入っていくか、どちらかです。どちらにしても、雨の直後だったりすると、多少靴に泥が付くことくらいは覚悟してください(だから、上の項に書いたように、長靴を貸してくれるところがあるのです)。畑の畝に板を渡して、歩きやすくしているところもあります。
ハウスで行う場合は、生産しているハウスの中に入れてもらえます。ハウスに入ったことの無いお子さんなどは、こちらのほうが喜ぶかもしれません。
花の値段は、ハウスのほうが路地よりも高いことが多いです。
小型のハウスというか、ビニールトンネルみたいに作った、人が入れないタイプのビニール温室がありますが、(要するに、下の画像のようなハウスです)
↑この中の花を摘むような場合は、ちゃんと温室の口をスタッフさんが開けてくれるので、開けてもらってから摘みましょう。自分で、勝手に開けてはいけません。
花畑に行くと、現場のスタッフさんが、花の切り方の基本的なことを教えてくれます。切り方に難しいことなどは無く、誰でもうまく切れます。
ただし、さっさと規定の本数を切ってしまってから、他人が切っているのを見て、
「ああいう風に、慎重に選んで切れば良かった」
「あんな良い色があったのに気が付かなかった!」
などと、小さな後悔をする人は大変多いです。
花を切るのは、ただはさみでチョキンチョキンと切るだけです。なので、力もいらず、少しかがむくらいでできる作業です。10本や20本切る程度で、服が汚れるようなことにはなりません。
お会計は、後払いが主流です。なぜなら、最終的に花の数をチェックしなければならないからです。
花を切り終わったら、自分の切った花を渡し、花の本数をチェックして、会計をしてもらえます。
個人農園だと、会計チェックのときに、「この花、小さいから……もう一本つけてあげましょう」などと、黙っていてもサービスしてくれることもあります。
観光用花摘み体験ができる花の種類は、およそ決まっています。メジャーなものは、下記のとおりです。
ポピー、菜の花、スターチス、キンギョソウ、なでしこ、キンセンカ、ストック、矢車草、カスミソウ、小菊
上記の花は、本当によくあり、何度か花摘みに行っている人からすると、「またこれか」というくらいの花です。
上記の花ほどメジャーではないものになると、
ひまわり、コスモス、マーガレット、カーネーション、アルストロメリア
などがありますが、すごく珍しいというほどではありません。
私が、個人的に「これは変わってる」と思った花は、下記のとおりです。
ラベンダー、ストレチア、ダリア
ラベンダーは、ハーブ園も併設するようなところでないと、なかなか無いと思います。
ストレチアの花摘みは、館山あたりで見たと思うのですが、一応「高級花」の一角に入る花であるのに(昔ほど高級ではなくなりましたが)、花摘みできるのかと思って驚きました。上記の、メジャー級の花を見ていただければ分かりますが、花摘みできる花というのは、ほとんどが安価な花なのです。
ダリアは、ネットで情報を見たことがありまして、宝塚のほうの公園か植物園だったと思います。ダリアの花摘み体験というのは、非常に珍しいです。
10本や20本程度の花摘みは、結構あっけなく終わります。特に、花の見極めが早く、花鋏を扱いなれていると、2~3分で終了となります。よほど時間をかけて吟味し、スタッフさんにいろいろ質問しても、花摘みだけで30分かかることは無いと思います。
旅行の計画を立てるときなどの参考になさってください。
上の項で、「花摘みは、結構スピーディーに終わる」と書きましたが、ほとんどの花摘み花畑は、レジャー施設の中にあったり、すぐ近所に大きなレジャースポットがあったりします。なので、長い時間かけて花畑に行ったけど、10分で全部済んでやること無くなって帰ってきた……ということはあまり無いはずです(辺鄙なところにある個人農園がやってればありえますが)。
多くの花摘み花畑は、植物公園の中や、レジャー牧場の中、道の駅の隣などにあったりします。また、観光用花畑は、地元のJAや、生産者の組合が運営にかかわっていることが多いので、切花・鉢花、野菜や地元の名産品の買えるショップが併設されていたりして、良いお土産購入ポイントになっていることが多いです。
基本的に、花摘み体験の現場にいるスタッフさんは、花のことにはとても詳しいです。それは、ほとんどの現場スタッフが、農業従事者だからです。その花畑で、花を生産している農家さんが、花摘み体験のお客を案内しているのです。
なので、花のことは、たいてい何を聞いても答えが返ってきます。ガーデニングの好きな方は、花の育て方の質問をしてみてもよいでしょう。
花摘みの値段を見ると、「10本 300円」「15本 300円」くらいの値段が書いてあることが多いです。町の花屋で売っているバラなどは、1本300円するものもあるので、それと比べて、
「10本もあるのに300円! とんでもない安さだ」
と感じる方もいるかもしれません。しかし、「どんな花が摘めるのか?」の項に書いたように、花摘み体験の花は、切花としては安価なものが多いです。「10本 300円」くらいで、そんなに驚くことでもありません。
たとえば、ポピーは、東京でも、1本50円くらいで買えます。10本の束売りだと、500円よりも安い値段で売っていてもおかしくありません。なので、花摘みの値段は、安いことは安いが、とんでもなく安いわけでもない、というところだと思います。また、花のできによっては、「全然安くない」ということだってあり得ます。
しかし、管理人(花屋&花の先生です)が、「なんだかんだで安いな」と感じる値段であることは間違いありません。また、自分で選んで、自分で切って、新鮮なままの切花をゲットできることを考えると、「トータルでお得」なレジャーと言って良いと思います。
花摘み花畑では、切花や鉢ものも売っています。切花の中には、都会で買うよりも相当安いものもありますので、お花好きな人はチェックしてみてください。房総の方の花畑などでは、たまにプルメリアの鉢物などが激安で並んでいたりして、なかなかの掘り出し物に巡り会えることがあります。