※この記事は、旧サイトに初出2004年で複数アップした記事を、まとめて再録したものです
虹色スミレという、かわいらしい名前のパンジーがあります。上の画像がそうなのですが、花の中央から外側にかけて、繊細な淡い色合いのグラデーションが美しい品種で、パンジーの中では高級な品種です。
虹色スミレは、サカタのタネと、リカちゃん人形で有名なおもちゃメーカー:タカラ(現タカラトミー)のコラボレート商品として発売されました。なかなか面白い企業同士の組み合わせです。
サカタのタネは分かるが、タカラは一体、種苗商品に何を提供したのか?というと、実は、キャラクター提供なのです。虹色スミレは、タカラを代表するキャラクター、「リカちゃん」のラベル付きで発売されました。
このユニークな品種の開発企画がどのようなプロセスで進んだか、一切発表されていないので分かりません。サカタとタカラの社内でも、極秘扱いのプロジェクトだったとのことです。
虹色スミレにおけるサカタとトミーのコラボレートの珍しさは、花の一品種と、人気の安定した別業界の商品が、かなり本気でタイアップしたところにあります。お人形の名前を付けた新開発種の発売など、おそらく世界的にも例が無いのではないでしょうか。(鉢物の仕入れに行った花屋さんに聞きましたが、虹色スミレのコーナーには、大きなリカちゃんのポスターが貼ってあったそうで、「こんな光景も珍しい」とのことでした)
しかし、タイアップの期間はもう何年も前に過ぎ去り、現在では、虹色スミレのラベルにリカちゃんの姿はありません。
コラボレート時に私が一番驚いたのは、実はこれです→虹色スミレ リカちゃん
「虹色スミレリカちゃん」という人形で、初回発売時には、限定1,000体、5,250円の商品でした。
リカちゃんくらいのキャラクターパワーだと、1,000体売るくらい簡単なことのようで、すぐに新品は無くなって高額なセコハンが登場していたな……という記憶があります。
サカタのタネでは、虹色スミレの特徴として、「今までに無い光のスペクトルのような花色」という表現をしています。
確かに透明感のある色合いで、中心が薄く、周りにいくほど濃くなり、非常に繊細で可憐な印象を受けます。
虹色スミレには、発売当初、すべての品種名に「リカ」の文字が付き、スイートハートリカ、ラブリームーンリカ、というような名前でした。現在、すでにリカちゃんはキャラクターではなくなっているので、「リカ」の名前は品種名から外れています。
発売年にもっとも人気があったのは、リカちゃんのイメージカラーであるピンク色の品種、「スイートハートリカ」でした。スイートハートリカは、現在はスイートラブという名で流通しています。
虹色スミレは、「秋咲きで、日本の風土に適した、家庭でも育てやすいパンジー」です。
気温の変化により、花つき、花色に多少の変化があり、気温が低く、日照時間がすくない時期には咲きが抑えられる傾向があります。
日光には、十分あてる必要があり、肥料も一般のパンジーよりも多めを好みます。
私は、2004年の12月6日に、虹色スミレのスイートハートリカを2ポット購入しました。1ポット300円でした。(デジカメを持っていなかった頃の記録ですので、画像無しですみません)
スイートハートリカの花色はピンクです。これを、テラコッタの鉢に植えたところ、2005年6月中旬まで、つまり半年以上花を咲かせ続けてくれました。
実際に育てた感想としては下記のようになります。
全体として、価格以上の楽しみをもたらしてくれたと、私は概ね満足しています。(買うときには、パンジーに300円は高い、などと思いましたが)
ただ、一つだけ「?」が付くのが、上にも「疑問有り」と書いた花色でした。
スイートハートリカは、ピンク色の品種です。ところが、うちのスイートハートリカはピンクではありませんでした。
「花の色は、色見本みたいに厳密なものでない」ことは承知しています。それでも、あれはピンクではなかったと、はっきり言えます。うちのスイートハートリカは、明らかな紫色でした。2ポットとも、紫だったのです。しかも、そのうちの片方は、虹色スミレ独特の「中央部の白色部分」さえ全く無く、要するに単色の紫のパンジーでした。どちらの株も、すべての花が紫で、ピンクに近い色味の花は一つも付きませんでした。
ただし、それでもなお、「価格以上の価値があった」と私が満足するほど、見事に花を咲かせ続けてくれたので、「良くなかった」とは言いたくありません。
実は、
「スイートハートリカが、咲いたらピンクじゃなかった」
という声を、私は複数の人から聞いていました。その中には、私と同じ「白部分が無い」という声も聞かれました。どうも、他の花色でこのような声は少なく、スイートハートリカにおいて顕著であるようでした。
パンジー好きな人なら
「ピンクだからでしょ?」
と言うかもしれません。パンジーでピンク色を出すのは、比較的難しいことだからです。
ピンクのパンジーは、スイートハートリカ以前にも存在しなかったわけではありません。しかし、「ピンク」と書いて売っていても、
「ピンクと言うより薄い紫では?」
というようなものがほとんどでした。いえ、独断を恐れずに言うならば、「全部そうでした」とも言えるくらいでした。
なので、虹色スミレが売り出され、甘いピンク色の写真が公開されたときに、ピンクパンジーファンは喜んだのです。「今度こそ本当のピンクが来るのかも!」と。
しかも、リカちゃんのイメージカラーがピンクなこともあり、サカタのタネはピンクのスイートハートリカをイチオシで売り出したもので、花屋の店頭では、明らかにスイートハートリカから売れていきました。
もちろん、良く売れたスイートハートリカのほとんどは、ピンク色に咲いたのです。美しいピンクパンジーの画像を公開されたガーデニングサイトさんはたくさんありました。
しかし、各個体のレベルで「ピンクの難関」を超えられないものがあったということなのでしょう。白部分の消失したものが咲いた人の中には、「がっかり」と言われた人もいました。
サカタノタネによれば、
「個々に差異はある」
「もともとの株の問題だけでなく、環境にも左右される」
とのことですが、全く白部分の無いものが、管理人の身の回りでさえ複数存在した事実は、「花色の安定に欠ける」と言われても仕方ないのではないでしょうか。
虹色スミレは、大きな魅力のあるパンジーだと私は思います。思ったようなピンクの花は咲かなかったけれど、次のシーズンもまた買おうかなと思ったくらいです。
花付きと株の姿が良く、丈夫で花期が非常に長い、優秀な園芸植物だという認識でいます。
もう一度買うなら、スイートハートリカ=スイートラブでリベンジしたいです。同時に、別の色も購入して、ピンク以外の虹色スミレも楽しみたいです。
この記事を、まとめて再アップしている2024年現在、画像検索しても、我が家で咲いたような「真紫」の画像は見当たらないので、20年の年月が、花色を安定させたのだと信じます。