フィクションの世界では、「見知らぬ誰かから花束が届く」というシチュエーションが、ロマンチックに描かれることがあるものです。
しかし、実際問題として、人に自分の名を隠して花を贈ることはできるのか、また、名を隠して花を贈ることはいいことなのかどうかを、この記事では考えてみます。
匿名で花を贈ることは、アナログな方法ほどやり易いです。単純に、家の前に黙って花を置いて来ればできてしまいます。
しかし、これには注意が必要です。もしこの方法を取るなら、一目で贈り主が分かるような要素があるか、速やかに「贈ったのは自分です。びっくりした?」という連絡を入れるか、どちらかでないと非常識です。
特に、都会では、非常識どころか危険物扱いされてしまうかもしれません。
最後には贈り主の種明かしを必ずしましょう。でないと、最悪ストーカーかもしれないと思われたり、後で贈り主が分かったときに、「いい人だと思っていたのに、非常識な人だった」などと、評判を落とすことにもなりかねません。
貰う側が不安を覚えるのは、以下のようなことです。
本当にまったく心当たりがない場合には、女性だけでなく、男性でも不安を覚えるでしょう。「うれしい。誰かが私を愛してくれている」と受け取る人など、居ないと思った方が良いです。
このように、「個人⇒個人」の匿名フラワーギフトは、リスクが大きいです。相手が確実に喜ぶ確信がある人だけが実行するべきです。
町の花屋さんが、匿名の配達を受けるかどうかは、各店舗の考えによって異ります。受けてくれないお店はあるので、匿名で贈りたければ、ストレートに聞いてみてください。断られたら、無理に頼もうとせずに別のお店を当たりましょう。
匿名でもOKなお店であれば、特に理由など聞かずにサラッと受けてくれます。
ただし、
「もしも先方が受け取り拒否なさったら、無理に押し付けることはしませんが、その点あらかじめご了承を」
と確認されるでしょう。
もし、先方が匿名で届けられた花を受け取ってくれなくても、商品を作って持参しているのですから、当然返金はされません。
「断られても、このお金は返せませんが、よろしいですね」
と確認されているということです。
まったくの匿名は受けなくても、ニックネームやハンドルネームならOKのお店はあります。要するに「〇〇様からです」と言えるようになっていればギリギリ受ける、という姿勢です。
しかし、これも上の項と同じく、受け取り拒否される可能性のことを説明されます。そして、匿名の場合と同様に、「受け取り拒否されても返金しない」ことは変わりません。それを承知で注文することになります。
自分が何ものか明かしたくないだけなら、偽名を使うのが一番簡単です。店頭で注文を受けるときに、身分証明書などの確認はしませんので、花屋さんには偽名だとは分かりません。
ただし、本当に適当な偽名だと、贈られた側が混乱する可能性が高いので、これもかなりリスクの高いギフトです。贈られる側に「知らない人だ」と言われてしまったら、受け取り拒否されることもあるでしょう。もしかしたら、完全な匿名の方が、まだしも先方の印象が良いくらいかもしれません。なので、到底お勧めできることではありません。個人的には、「やめた方がいい」と申し上げたいです。
偽名で先方に着いても喜ばれるのは、贈り主のシャレ心などが完全にわかってもらえる場合か、贈りものの主旨を暗示するような偽名をつけた場合です。
たとえば、伊達直人で、児童福祉施設に贈るなどがそれです。
『ガラスの仮面』というマンガの中で、女優さん(ヒロイン)の楽屋に「あなたのファンより」と書かれた紫のバラの花が届く、というシーンがあります(実は、ヒロインのリアル知人が名を伏せて贈っている)。
この漫画と同じように、舞台の女優さんに、「あなたのファンより」で贈る注文は、一種の匿名ではありますが、受ける花屋の方が多いと思います。しかし、品物以外のところで発生するリスクを嫌う花屋や、過去に匿名で大クレームに繋がった経験のある花屋だと、かたくなに断られることもあるでしょう。また、Webサイトを持っていて、そこで「匿名は受けない」と明記してしまっていると、はっきりした氏名を書けない注文は全件NGにすることもあるでしょう。
ネット花屋も、実店舗の花屋と同様に、店によって匿名のギフトを受けるところも、受けないところもあります。
たとえば、日比谷花壇や、第一園芸は、「匿名NG」を明記しています。
反対に、「匿名OK」を明記しているのは、フラワーファームや、宅配花屋さん花RiRoや、花急便です。
多くの花屋さんは、「匿名が可能かどうか」を、特に明記していませんが、明らかにうれしい注文ではないです。宅配便で送るケースは、送り状の「送り主欄」が空白では、宅配業者が受け付けないことがありますので、花屋はそれを理由に断ります。
※「匿名OK」なネット花屋も、実店舗と同様に、「受け取り拒否でもお支払いはしていただく」が前提です
私が、ごく身近な範囲の女性たちにリサーチしたところ、「匿名のフラワーギフト」には、良い印象を持つ人はいませんでした。たとえ恋人や夫からであっても嫌だ、という声さえ聞かれました。つまり、匿名の花ギフトを、「ワクワクするサプライズ」とは思わない人の方が圧倒的に多いということです。
私個人の考えを言うなら、
「一目で贈り主が誰か、確実に察せられるなら、それも面白いかな」
というところでしょうか。本当に贈り主不明なものは、私もイヤだと感じます。
よって、
「びっくりさせてやろう。喜ぶだろうなあ」
とノリノリで届けても、相手を不快にさせる可能性があることを理解しましょう。このことは、男性から女性へのギフトに限りません。同性間のギフトであっても、不快にさせるリスクはあります。
また、「絶対に贈り主がだれかわかってくれるはずだ」と思っても、相手方はそうは思わない、ということもあります。サプライズの計画は、えてして「予定通りにサプライズが成功する」ことを前提にして立てられるものですが、うまくいかない可能性もあるのではないかと、一度はクールに考えたほうがよろしいです。