花の情報局

マンションの大規模修繕時にベランダの植物はどうすればいい?

管理人宅のマンションでは、数年前に「大規模修繕工事」というものが行われました。マンション住まいの人なら、経験していなくても聞いたことがあると思いますが、これはなかなか面倒なものです。

生活のうえで、本当に様々な面倒があるのですが、当サイトでは、植物関連の「大規模修繕対策情報」を紹介いたします。
大規模修繕の間に植物たちをどうするのかということは、ガーデナーにとっては大問題です。「大規模修繕」と名の付く修繕工事であれば、ほとんどがベランダに鉢を置けなくなるからです。(各戸のベランダに立ち入らないような、簡易的な修繕工事であれば別ですが) 日の光が大好きな植物を、長期間ベランダに出せないでいると、最悪、枯死させることになってしまいます。

私自身、大規模修繕中に、二種類の鉢ものを枯らしました。そのときに、実際にどんなことがどんな順番で起こったか、どんな後悔があるのか、また、自分で調べたり、経験者に教えてもらった情報にはどんなものがあるのか、などの事柄を下記に残しておき、私自身の次回の大規模修繕対策にも役立てようと思います。

 

目次 マンションの大規模修繕時にベランダの植物はどうすればいい?

  1. 大規模修繕は、いつ知らされる?
  2. 大規模修繕は、数ヶ月かかるもの
  3. ベランダのものは、すべて撤去が必要
  4. 屋内に移動させる
  5. 定められた「鉢の仮置き場」に移動させる
  6. 家族や知人に預ける
  7. 業者に預ける
  8. 処分する
  9. 大規模修繕を避ける人もいる
  10. ベランダを使えるようになったら……
  11. 大規模修繕は、またやってくる

大規模修繕は、いつ知らされる?

工事の予定を詳細に記載した「工程ガイド」などで、「大規模修繕工事が○月○日から始まります」と、住人にはっきり知らされるのは、工事開始の2~3週間前くらいが多いです。
しかし、管理組合では、その数年前から工事が議題に挙がりますので、総会に出たり、総会の議事録を読んだりすれば、「そろそろだな」というのはかなり前から分かります。

 

大規模修繕は、数ヶ月かかるもの

大規模修繕工事は、数日で終わるものではありません。管理人宅のマンションでは、約2ヵ月半かかりましたが、長いところだと、半年くらいかかるところもあるようです。

工事がいつからいつまでという情報は、住人には必ず事前に告知されます。しかし、天候などの理由で工事が延びるのはよくあることで、「予定」とされている日程に、ぴったり終わるわけではないと思ってください。

 

ベランダのものは、すべて撤去が必要

上にも書いたように、ベランダに置いてある物は、すべて撤去が必要です。鉢物であろうが、園芸用品・資材であろうが、全部ベランダから移動させなければなりません。
少々のものは脇の方に寄せておけば大丈夫だろう、というわけにはいきません。一つ残らず撤去します。

撤去をいつするのかは、何らかの形で案内があるはずです。○月○日までに、ベランダに物が無い状態にしてください、という文書が配布されるのが一般的かと思います。うちのマンションでは、4月14日に、「4月25日までに撤去願います」という通知が来ました。通知日の11日後が撤去の期限だったわけですが、大体このくらいのタイミングでの告知が多いようです。

もしも、「撤去の期限」を無視して置き続けていたら……自分はやっていないので推測ですが……多分、工事事務所からお知らせが入るか、管理会社の担当者が連絡してくることになるのだろうと思います。
ベランダに物があると、「作業がしづらい」ではなく、「作業ができない」になるので、工事がその一戸のために滞ってしまうのです。

では、実際には鉢物をどう撤去したらいいのかと言いますと、大きく分けると以下のようになります。

  1. 屋内に移動させる
  2. 定められた「簡易鉢置き場」に移動させる(無いこともあります。うちのマンションにはありませんでした)
  3. 家族や知人に預ける
  4. 業者に預ける
  5. 処分する

ベランダの物の撤去は、各自の責任で行います。撤去作業は、早めに段取りを考えて、できれば着手も早目がいいです。日にちの余裕があっても、雨が続いたりするとなかなかベランダで作業できないこともあるので、楽にできるうちに始めるほうが良いでしょう。

 

屋内に移動させる

これが一番シンプルな方法です。ベランダに出していたものを、家の中に取り込むだけです。しかし、シンプルではありますが、鉢の数が多かったり、鉢の大きさが巨大だったり、家の中に鉢を置いておけるスペースが極端に少なかったりすると、かなり難しい問題になります。
鉢の数が10個を超えると、部屋一つを鉢類に占領されることもありますし、家中ジャングルみたいになることもあります。

私自身の経験を言いますと、鉢の数9個を(大規模修繕のために減らしました)、玄関の三和土に6個、キッチンに3個と振り分けて置きました。鉢もプランターも、下に受け皿を置き、蔓を伸ばしていたノバラは、蔓を壁にもたせかけていました(後から考えたら、強剪定すればよかったです)。
そのときの画像がこちらです。

マンションの大規模修繕時にベランダの植物はどうすればいい?

うちは、玄関にあまり光が入らないので、二種類の植物が枯死しましたが、そうはさせたくない人は、なるべく日の当たる窓際の方に鉢を置き、本格的にやりたいなら、お金はかかりますけど植物育成ライトの導入も考えてみてください。でも、育成ライトを当てても枯死する場合があることを承知しておいてください。(蛍光灯やLED灯の光も、無いよりはマシです)

一室にたくさんの鉢を置くなら、シートを敷いて、その上にお皿付きの鉢・プランターを置くのが安全です。
でも、シート敷いていても水が滲みてしまった……ということはよくあります。お皿から水があふれるか、水をやるときに鉢の外に水をこぼすか、水差しを床に置いてうっかり倒す、というのが原因になることが多いように思います。

たまに、プランターにも受け皿があるのを知らない人がいますが、普通に売っているものです。プランターとセットだけでなく、受け皿単体でも売っています。


プランター受け皿は、最近なら100均にもある可能性大です。

色々工夫して屋内に置いても、植物へのダメージはほぼ避けられません。
上にも書いたように、我が家では二種類の植物を屋内で枯死させています。また、ノバラのつぼみは咲かずに落ち、いくつか発芽していたバラ類が、小さな芽のままダメになり、ほとんどの植物が葉っぱを落としてヒョロヒョロになっていきました。
枯死・株の弱体化は、必ず起こると思ってください。それが許せなければ、どこかへ植物を避難させることを考えましょう(下の項からの情報参照)。

 

定められた「鉢の仮置き場」に移動させる

一部のマンションでは、敷地内に「鉢の仮置き場」が作られることがあります。これは、どこのマンションでもあることではなく、現に私のマンションではありませんでした。

「鉢の仮置き場」とは、どういうものかというと、工事中に共用スペースのどこかに、「この場所に、ベランダから鉢ものを移動させて置いても良い」場所が作られて、そこを置き場に困った鉢の一時避難場所にする、というものです。

ほとんどの場合、自分で鉢を運び、早いもの順で場所を選んで置いていくことになります。つまり、日当たりなどの環境が良い場所から埋まっていきます。良い場所をとりたければ、早めに移動させましょう。
水やりは、基本的には自分ですることになります。もしかすると、マンションの管理人さんが善意でやってくれるというところもあるかもしれませんが、一鉢ずつの水管理などを正確にやってもらえるはずもありませんので、できれば自分でやる方が良いです。

何にせよ、持ち主の手から離されて一箇所に集められるので、家のベランダで世話していたときよりも、管理が行き届かなくなる可能性が高いです。場所によっては雨ざらしになったり、日当たりが悪くなったりするかもしれません。それでも屋内で、日照不足で弱っていくよりはマシ、というくらいの気持ちで仮置き場を使いましょう。

仮置き場に置いたことが、枯死の原因になることもあります。また、ほかの家の人が水やりなどをしたときに、うっかり鉢を蹴飛ばしたり、枝が服に引っかかって折れたり、ということも起こると思います。そして、気づいたら鉢が無くなってた、ということも、あり得ないことではないです。
そういうめには一切あいたくないと思う人は、仮置き場の使用はやめましょう。

仮置き場に鉢を持っていくときには、鉢に部屋番号を書いた札やラベルを付けるなどして、「○○号室のものである」ことを明らかにしておいたほうが良いです。鉢に対する思い入れが大きいガーデナーだとありえないことなのですが、アバウトな人は、自分の鉢がどれだったか分からなくなったりするからです。
分からなくなると、自分の鉢なのに水をやるのを忘れ果てたり、工事終わりに鉢を引き上げるとき忘れていったり、反対によその家の鉢を間違えて持ち帰ったりしてしまうことが考えられます。(植木鉢くらいのことは、金銭や家財と違い、結構無責任になりやすいのです)

 

家族や知人に預ける

近場に住んでいる家族や親戚、または親しい友人などの家に、鉢類を一時避難させてしのぎます。
この場合、相手に管理の手間をかけさせるので、かなり気を使わなくていい相手でないと難しいです。鉢類を預けたがために、その後の関係が微妙になるような相手には、絶対に預けるのはやめましょう。

人に預けた場合、枯死や、管理の不行き届きは想定内とすべきです。鉢がどうなっても、預けた自分の責任と思いましょう。
枯れたことや、株が弱ったことをゴチャゴチャ言うくらいなら、最初から預けるべきではありません。そんなことになるくらいなら、お金を払って業者に預けましょう。

 

業者に預ける

私の周りには、業者に鉢類を預けた経験のある人は一人もいません。ガーデニングにかなり興味がある人でも、業者に任せることはほぼ無いようです。
なので、業者を探すような人は、

  • 鉢数が膨大
  • 専門性の高い、貴重な植物を持っている
  • だいぶ玄人はだしのガーデナー
  • 完全な、マニアの人
  • 鉢ものが生活に占める重要性が相当大きい

というような一部の人だと思います。

鉢物の預かりは、造園業者・土建業者・レンタルグリーン業者などで行っているところがあります。「鉢物 預かり」で検索してみましょう。(料金は、かなりバラつきがあるようですが、数ヶ月間預けたら、どう考えても5桁のお金はかかります)

 

処分する

大規模修繕のために、鉢類をすべて捨ててしまうということではありません。
以前から「処分してしまおうか」と思っていた鉢を思い切って捨てるとか、何鉢かあるものの一つを人にゆずるなどして、鉢の絶対数を減らしておくと、移動作業が楽になります。(私もそうしました)
普段なら、絶対人に譲りたくないと思っている鉢ものも、屋内に押し込めて、枯死のリスクが大きいような管理をしなければならないことを考えると、「それならいっそ、誰かにあげようか」と思えたりするものです。

「捨てる」「ゆずる」以外に、最近なら「ネットオークションに出す」という手もあります。少し珍しい植物だったり、鉢の仕立てがきれいだったりすると、ヤフオク!などであっという間に買い手が付くかもしれません。

鉢の処分は、あまり急に行えるものでもありません。工事が始まると分かったら、早い段階で処分する方法を考え出すのが良いでしょう。

 

大規模修繕を避ける人もいる

世の中には、「大規模修繕は面倒で嫌だ」という理由で、引っ越ししてしまう人もいます。賃貸マンションだけでなく、分譲でも、大規模修繕を理由に引っ越す人はいます。もちろん、ガーデニング的な理由だけで引っ越す人はいないと思いますが、大規模修繕中には、以下のようなリスクや面倒ごとが起こります。

  • 建物ごと工事シートに包まれて室内が暗くなる
  • ベランダに人が出入りする
  • 騒音・異臭を我慢しなければならない
  • 窓が開けられない
  • 洗濯物が干しにくい
  • 上記のようなことが数ヶ月続く

↑これらすべての要素を考えると、引っ越すきっかけになる人もいるのでしょう。

 

ベランダを使えるようになったら……

工事が終わりに近づくと、再びベランダが使えるようになります。「○日から、ベランダに物を置いても大丈夫です」というような案内が出ますので、その日が来たら、速やかにベランダに植物を出してあげてください。建物に工事シートがかかっているうちは、日照はやや少ないですが、「カーテン越しの光」くらいの光量は十分にあります。

工事シートも外れたら、本格的にガーデニングを始められます。植物は、工事前には無かったストレスを色々と抱えているはずです。管理人宅の植物たちは、工事中にすべての鉢を屋内に置いたので、ほとんどの植物が葉を落として丸坊主に近い姿になっていました。
大規模修繕直後の植物たちは、全員半病人みたいなものです。一から健康を立て直すつもりでガーデニングを再開してください。

 

大規模修繕は、またやってくる

大規模修繕は、一度やったら二度と無いというものではありません。一回目の後に、いつかは二回目が、その次には三回目が……と続いていきます。

一回目の大規模修繕で鉢の扱いに困ってしまった人の中には、
「以降、ガーデニングをやめた、または縮小した」
という方もいるでしょう。でも、
「次なんて、10年ほどの先のことなのだから、そのときはそのとき」
と思う人もいるでしょう。どちらを選ぶかは、それぞれの問題です。

私個人のことを言うと、大規模修繕の後も、変わらずガーデニングしていて、鉢数はむしろ増えています。
しかし、たった一つだけ、前から持っていた夢をあきらめました。
私のあきらめた夢は、
「一抱えもあるような、人一人入れるくらいの巨大テラコッタ鉢に、大型植物を超かっこよく育てる」
というものでした。ソテツとか、バナナとか、もしくはマニアックな観葉とか、あるいはそれらの寄せ植えなどを夢見ていたのですが、これは大規模修繕時にどうにもならないと断定し、ついに見果てぬ夢となりました。