花の情報局

お正月のお花は、いつ買うものなのか、そしていつ飾るものなのか

お正月のお花を自宅用に飾りたいけど、いつ買っていつ飾るものなんだろう?という方のための基本情報を紹介します。

 

目次 正月花はいつ飾る?

  1. お正月のお花を買うタイミング、飾るタイミング
  2. 28日よりも早く正月花を買う場合
  3. 28日~30日に買って飾るのが、最も一般的
  4. 大晦日=12月31日に、正月花を生ける人もいる
  5. 正月花材は、ギリギリになっても値下げしない店がほとんど
  6. 「一夜飾り」は、なぜ良くないのか?
  7. お正月花を買うのを忘れていて、31日になってしまった……さあどうする?
  8. お正月の花飾りカレンダー

お正月のお花を買うタイミング、飾るタイミング

正月花は、元日の朝に美しく整った姿で生けられているべきです。ならば、大晦日の晩にセットしたらいいんじゃないかと思いますが、31日に飾ることを「一夜飾り」になるとして忌む風習があるため、一般的には28日か、30日に飾ることが多いです。
29日が抜けている理由は、「9」=「苦」に通じる、という考え方で「9」のつく日を避けることがあるからです。

ということは、28日か、30日に飾れるタイミングで買えばいいわけです。特に、「何日に買うべし」という決まりは無いので、自分の都合で、「28日か、30日に間に合う」ように買えばいいです。

 

28日よりも早く正月花を買う場合

管理人は、いけばなの稽古場で正月花の稽古を受け、その花材をそのまま正月花にすることがあるのですが、稽古場の都合で、妙に早いタイミングで正月花材をゲットしてしまうと、家で生けても早すぎて正直シラけてしまうことがあります。
早すぎると、花ものが一部交換する必要が生じることもありますし、なにより花を見飽きてしまいます。見飽きると、元日に「新たな気持ち」になどなりにくいです。

場合によっては、早くゲットするのも仕方ないことがあるかもしれませんが、なるべくなら、28日以降くらいに買うほうが、新鮮な気持ちで元日の花を見られます。そして、早く買うなら、花ものは持ちのよいものを選んで買うのが良いです。もしくは、開き直って、30日頃に、花ものだけを挿し直すという考えで生けても良いです。

もしも、事情があって、早めに正月花をゲットしたい場合、花屋の店頭に「お正月セット」のようなものが出ておらず、松の影も形も見えなくても、
「お正月花を買いたいのですが」
と申告してみると、大抵の花屋なら、ちゃんと奥から松が出てきます。松市というのは、毎年12月初旬頃に行われるもので、花屋はその時点で松を買ってきているのです。
どの店も、松は売り切りたいと思っていますから(年が明けると、絶望的に売れないので)松が欲しいお客さんを、断ることはありません。一言、「ありますか?」と聞いてみれば買えると思います。(稀に、店舗とは別の場所にストック花材を置いている店があり、そういうところだと、「今、ここには無いです」と言われるかもしれません)

お正月花は、28日くらいから買う人が圧倒的に多いので、ここでは「28日より前は、タイミング的には早い」ようなタイトルを付けていますが、実際の花屋さんの店頭には、26日くらいから「お正月セット」が徐々に顔を出しています。なので、28日前に買うのは、特におかしいとか、早すぎるということでもありません。ご自身の都合が良いときに買うのが、ふさわしいタイミングだと思います。

※早めに買うより、遅めに買うほうが、松が新しくていいと考えている人がいますが、上に書いたように、松市は12月上旬にあり、その一週間後が千両市です。入荷した日が変わらなければ、28日の松・千両と、30日の松・千両の新鮮さは変わりがありません

 

28日~30日に買って飾るのが、最も一般的

12月28日になると、花屋やスーパーの生花コーナーに、セットになって組まれた正月花のバケツがズラーっと並ぶので、それを見てから「そうだ、正月花買おう」と思うくらいで、何も問題ないと思います。
よくあるのが、買おう買おうと思っているうちに、31日になるというパターンですが、下の項にも書いているように、実際には31日に買って生ける人というのは結構いますので、「31日になったら、絶対に生けてはダメ」ということではありません。

もしも、正月花材にこだわりがあり、「どうしてもこれとこれを生ける」とか、「どうしてもこの色を買ってこよう」とか、ピンポイントで花材を指定したいなら、見つけたときに購入するほうが安全です。一日、二日後に同じものを探しても、二度と会えないことがあるからです。
また、「ほどよい値段」のものを見つけたときも、早めに手を打つのが安全です。正月花は、どんどん売り切れていきますので(花屋としては、売り切りたい商品です)、後で買おうとしても、思っている値段より高いものか、変に安いものしか残っていないことがあります。

 

大晦日=12月31日に、正月花を生ける人もいる

私は、花屋の大晦日業務を、何度も経験しています。その経験からすると、大晦日でも、結構な勢いで正月花は売れます。正直、28日や29日と、あまり変わり無い数が売れています。ということは、世の中の人は、「31日は、一夜飾りだから避けよう」とは、ほとんど思っていないのかもしれません。

よって、「うちは、そんなにうるさいこと言わずに正月花を飾りたい」と思ったら、大晦日に生けたってよいのかもしれません。
実を言えば、私も風習関係は、まったくこだわらない人間なので、今までに何度も大晦日に正月花を生けています。そういうものを、気にしない人にとっては、「大晦日しか時間が無いなら、大晦日に生けてもいいじゃないか」と思います。

 

正月花材は、ギリギリになっても値下げしない店がほとんど

クリスマスケーキなどは、24日も遅い時間になってくると、安売りをし始める店もあるものです。しかし、正月花を、大晦日の夜だからといって、値段を下げる店は少ないと思います。本当に、「これ一束でオール完売」のようなときなら分かりませんが、基本的には「待っていれば、安く買えるかも」とは考えないほうがいいです。

 

「一夜飾り」は、なぜ良くないのか?

「一夜飾り」が良くないとされる理由は、

  • 年神様をお迎えするのに、前日からしか準備しないのは失礼
  • 年神様は、大晦日の朝に各家を訪れるので、そのときに正月飾りが無いのは失礼

という、二つが一般的には言われています。宗派によっても、違う考え方があるのかもしれませんし、地域によっても、違うことが言われているかもしれません。

 

お正月花を買うのを忘れていて、31日になってしまった……さあどうする?

「一夜飾り」のタブーを気にするタイプの人、もしくは、本人は気にならないけれど、気にする家族が家にいる人が、
「うっかり忘れてしまい、今日はもう大晦日……」
となってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
仕方なく31日に正月花を飾るのか、あるいは、飾ることをあきらめてしまうのか。

上の項の考え方ですと、「一夜飾りのタブー」というものは、「30日までに飾っておくことを推奨する」のが主旨です。(推奨というか、それを当然とせよ、ということかもしれませんが)「31日に花を生ける行為を禁じる」のが主旨ではありません。つまり、「やってはならぬ」ではなくて、「もっと早くやっておけ」です。
ということは、「遅刻するなよ」と言われているようなものなのです。それを、つい遅刻してしまったのなら、「ごめんなさい!」と言って急いで行うのが誠意というものです。31日になってしまっても、そこから正月花を生けて、あくる日の元旦を迎えて良いのです。

もしも、「一夜飾り」のタブーが、「大晦日に花を生けると悪いことが起こるぞ」という主旨なのであれば、「飾らない」という選択肢があり得ると思います。しかし、「遅刻しないでね」が主旨なのですから、「遅れてしまったから、やらないほうがいい」と思う必要はありません。

 

お正月の花飾りカレンダー

以上のことを総合しまして、12月25日~1月1日までの間の、お正月花を買うタイミング、飾るタイミングを、日にちを追って書いてみますと、以下のようになります。

  • 12月25日……正月花が、花屋店頭やスーパーの目立つところに出現する。早めだが、飾りはじめる人もいる。この日に飾っていけない理由は無い
  • 12月26日……少しずつ、町中で正月花を目にしやすくなる。まだ少し早めだが、飾り始める人もいる。この日に飾っていけない理由は無い
  • 12月27日……正月花を、そろそろみんなが買い始め、生け始める。この日に飾っていけない理由は無い
  • 12月28日……正月花の売れ行きが跳ね上がる。この日から、「さあ生けようか」と思いはじめる人が多いはず。いけばな教室のお正月稽古も、この日にあわせる先生が多い。12月30日と並んで、世間でもっともお正月花が生けられる日(もちろん、この日に生けていけない理由は無い)
  • 12月29日……28日と同じか、それ以上に正月花が売れる日。日付に「9」がつく日なので、「苦」に通じるとして、生けるのを避ける人もいるが、そんなに気にしないで生ける人も多い(ちなみに管理人は「気にしない派」)。9の日に生けたくない人でも、この日に花を買うことまで控えることはないので、決まりごとにうるさい家でも、買うだけならOK(つまり、この日は、「9」を気にする人にとっては生けてはいけないし、気にしない人にとっては生けていい日になる
  • 12月30日……とにかく正月花が売れていく日(28日、29日よりも多いかもしれない)。この日に正月花を生ける人が、一番多いのかもしれない。一夜飾り(大晦日に飾ること)を避けるのであれば、この日が正月花を飾れる最後のチャンスになる
  • 12月31日……意外にも、正月花の売り上げは落ちない。このことは、「一夜飾りはよろしくない=31日に飾るのはダメ」という習慣がかなり良く知られているにも関わらず、31日に飾っている人は山ほどいる、ということを意味している。多分みんな、「ホントは今日じゃないほうがいいんだけど……」と思いながら、「まあしょうがないでしょう」ということで生けているものと思われる。管理人自身も、自宅にいけるときには、31日でも全然かまわずに生けてしまうが、お作法の教科書的に言えば、「31日に生けるのはよくない」が常識
  • 1月1日……正月花は旧年中に飾るものなので、この日に飾るのは本来はイレギュラー。でも、この日しか生けられない人も世の中にはたくさんいて、そういう人が自分の都合で年明けに生けるのは、「いたしかたなし」