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素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

※普段は花バサミを持つことも無いような、まったくの素人の方向けの記事です。そこそこ自力で生けられる方には有益情報は多分無いです
※正月花を生けようと思っても、何から手を付けていいか分からない方は、どうぞご参考に

当サイトでは、正月花の松について、「自分を素人と思う人は、とりあえず松は立てておこう」という作戦を推奨しています(簡単に正式風に見えるからです)。
しかし、素人の方からすると、「松を立てる」ことが、物理的に難しいことも多いようです。なので、どお~しても松が剣山に立てられなくて、立てることを諦めたい人向けの記事もご用意することにしました。

松を剣山に立てないことは、「正月花としておかしい」ことではありません。当サイトで立てることを推奨しているのは、それが「やりやすいだろう」というだけの理由です。管理人自身、自分で生ける正月花は、特に立てないことの方が多いくらいです。安心して、「立てない松」を生けてください。

 

目次 素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

  1. 倒れてくる正月花は、縁起物としてはNG
  2. 若松を、「ちょっと思いきって切りたい」場合には……
  3. カットした松を、実際に生けてみる
  4. カットした松に「長短」をつけてみる

倒れてくる正月花は、縁起物としてはNG

なれない人が、松のような頭の重くて枝の硬いものを立てようとすると、剣山に挿したはずなのに倒れてきたり、剣山ごと倒れてくることがよくあります。
それでも、一度生けた形を守ろうとして、傾いたら立たせ、傾いたら立たせをくり返して飾る人もいるのです。

しかし、正月花の松は縁起物なので、すぐ傾くようでは良くありません。そんなときには、何らかの工夫をして倒れないようにします。
倒れない工夫というのは、プロ的にはいくつかやりようがあるのですが、素人の方には、「短く切ってしまう」というのが、誰にでも出来る方法です。このページでは、主に松を短めにセットすることについて紹介したいと思います。

 

若松を、「ちょっと思いきって切りたい」場合には……

いけばなやフラワーアレンジメントの経験がある人は、枝を切る行為にためらいを感じることはあまりありません。しかし素人の方は、切るのが怖くて手が出ない人の方が多いくらいかと思います。

切って、失敗したらどうしようと思うのでしょう。しかも、切り方の手本などは、意外に身近に見つからないので、思い切って切れないのでしょう。
しかし、切ることはそんなに困難なことではありません。下に、素人の方でも、一番鋏を入れ易い若松のカットの方法を一例だけ紹介してみます。

↓こんな単純な切りかたでOKです。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

若松の真ん中の一番長い枝を、枝分かれ部分で切り落とし、2本に分けました。こう切ると、「立てられない」と困ることはかなり少なくなると思います。それは、切り分ける前と後では、一本ずつの重量が全然違うからです。

しかし、「こう切ると、若松らしい真ん中が高くて左右に枝が出ている形が崩れるじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、別に若松らしい形を保つことが正月花の使命ではないのですから、軽い気持ちで短くしてOKです。

 

カットした松を、実際に生けてみる

短くした松は、大きく線を出す生け方とは違う使い方ができるようになります。初心者さんにもやりやすいのは、、こんもりと平均的に器を埋めるような使い方です。

一例として、下に画像を貼ってみます。(松だけでなく、ほかの花材も入れています)
正月花材でざっと器を埋めて、これになにか足して正月花を完成させるためのベースにする、という方法です。

↓これだけでは「未完成品」です。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

まったく機械的に挿し、ただ器を埋めただけです。松は、大体同じ長さに切り、剣山には、そんなにしっかり刺していません。このくらいほかの花材も入って「こんもり」していると、あまりしっかり刺さなくても倒れる余地がありません。
このような、簡単な挿し方ですが、これに梅やロウバイなどを二本くらい上に立たせたら、素人生けの正月花としては十分なものができます。
上の画像は、すいぶん長い枝を足すことも想定して「ことさらにこんもり」させているので、家庭サイズなら、もっと小さい「こんもり」で大丈夫です。(上には、「これは未完成品」と書きましたが、もっと繊細に作りこめば、このような「こんもりタイプ」の正月花も良いものです……それに、上の画像くらいの生け方で実際に飾っている人は、現実にいると思います)

上の画像に、ぐいっと横に伸びた蛇の目松など足すと、下のようになります。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

器をこんもり埋めるところまでの作業は、いわば土台を作っているのです。
このような土台を作っておくと、あとは好きな方向にデコレーションしていくだけなので、非常に気楽に生けられます。
上の例では別の種類の松を横に伸びるように足しましたが、縦方向に枝を足してもよいのです。また、あけび蔓やキウイ蔓など持っていたら、蔓で上に大きく線を描いたりしても面白いです。
足してから全体を見て、ベースの部分に不満があれば、手直しします。しかし、ものすごく無難に作ったベースなら、よほどこだわりたいのでなければ、手直しもあまり要らないことが多いです。

若松は安いので、このように短くしてもそれほど勿体無くありませんので、カットにチャレンジしたい方は、まずは若松からカットしてみましょう。(自分の感覚で切れる人なら、根引きも五葉も切ってみましょう)

 

カットした松に「長短」をつけてみる

上の項の例では、一番簡単にできるように、「松は、大体全部同じ長さ」に切っています。しかし、もう少し「本格派風」に見えるには、松にそれなりに長短を付けられるといいのです。

たとえば、少し深さのある鉢型の花器に剣山を入れ、短く切った松を入れてみますが……

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

↑これも、すごく甘く剣山に刺してあります。しかし、縁の高い鉢なので、ちょっとくらい動いたところで、「倒れた」という印象にはなりません。つまり、「倒れようが無い」状態です。
倒れないように刺すことを目指すよりも、倒れようがない状況を作るほうが、素人の方にはやり易いと思います。

で、さすがにこの松だけでは飾り物にならないので、アンスリウムと、猫柳を足し、水引もかけてみました(水引が光ってしまってあまり分からない画像になっていますが)。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(4)……松が剣山に立てられなかったら

器の口を埋めるためだけに、松を使ってもかまわないのです。上の画像で高く使っている猫柳などは、軽いし茎が松ほど硬くないので、素人さんでも簡単に高さを出して立たせられます。低いところに入れた松が、がっちり剣山を落ち着かせているので、猫柳三本くらいのために、剣山がひっくり返ることもありません。