花の情報局

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

当サイトではずっと、「ボリュームがあって、口も広めな、いわゆる『つぼ型』は、素人の人には難しいので、あまりオススメしない」と言ってきました。この記事を書いている現在も、その見解は変わりません。

しかし、
「正月花を生けられそうなきちんとした器は、うちにはつぼ型のものしかありません」
というお宅も、珍しくないようです。また、突然に、
「会社の受付のつぼに、正月花を生けてくれ」
と言われる、などということも、実際に起こり得ます。

全くの素人の人が、つぼに生けることになって呆然としたときに参考にしていただこうと、一度だけ、「なるべく簡単に壷に生けてみた画像」をアップしてみようと思います。
どう考えながら生けたのか、困ったときにどう回避したかをすべて言葉にして書いていますので、お役立ていただけたら幸いです。
例によって、プロの技術は使わず、だれにでもできる方法で生けています。

※素人の方向けの記事です。経験者の方は飛ばしてください

 

目次 実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

  1. こんな「つぼ」を使いました
  2. 使用花材
  3. つぼに水を入れる
  4. 長いほうの松を、つぼに挿す
  5. 短いほうの松も挿す
  6. 千両を挿す
  7. 微調整する
  8. 出来上がり

こんな「つぼ」を使いました

今回、生けてみるつぼは、これです。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

このつぼは、管理人が親戚から貰ったもので、もともとは何かの記念品としてもらったらしいです。私は個人的には、「こういうつぼは、そのまま置物として飾るのが一番無難」と思うのですが、今回はこのつぼを活用してみることにしました。

 

使用花材

今回使用した花材は、以下のものです。

  • 根引き松 3本
  • 蛇の目松 2本
  • 千両 1本

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

↑松の嵩は、これくらいです。

たまたま家にあった花材で生けたら、このような内容になりました。値段的には、多分、2000円を少しオーバーするくらいかと思います(提供花材を含むので、正確な値段は分かりませんでした)。

では、下の項より、作業した順番のままに画像を貼っていきます。

 

つぼに水を入れる

花を生け始める前に、つぼに水を入れます。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

水を入れないで生けると、松などの重い花材を生けたときにるつぼごとひっくり返るかも知れませんし、生けている途中でうまくいかずに時間がかかってしまうと、花を長時間水から離してしまうことにもなります。

 

長いほうの松を、つぼに挿す

松は二種類あります。そのうちの、長いほうの松を、まずは何も考えずにつぼに挿してみました。

↓本当に、「ただ挿しただけ」です。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

一箇所も鋏を入れていません。今回の松は、長さに多少の長短があったので、特に切らなくてもいいかと思いました。
しかも、一番長いところでも、器の丈の3倍くらいですので、「まあこのままでいいだろう。長すぎると思ったら、途中で切ろう」と考えて、文字通り「ただ挿しただけ」にしました。(結局、最後まで松にはさみは入れませんでした)

 

短いほうの松も挿す

続いて、短いほうの松も挿します。これも、「ただ挿しただけ」です。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

全くの素人の人は、松を二種類挿すことはあまり無いかもしれませんが、「枝を二種類」挿すことは十分にあり得ると思います(松と蝋梅や、松とボケなど)。そういうときの参考にしてください。

上の画像をみていただくと、本当に「挿しただけ」なので、ただただ松が突っ立っている状態です。
ただし、「完全にそっぽを向いている枝」というものはありません。もし、このときに「明らかに、よそを向いている枝、背中を向けている枝」があったら、引っ張って前を向かせておくと良いです。

 

千両を挿す

今のところ、松がひたすらに上に向かっていて、全体が「棒立ちになってる」感じです。この「棒立ち感」を無くすために、少し低いところに千両を入れ、横幅も少し出して、安定感を持たせたいと思います。
つまり、下の図の赤丸のあたりに、千両を入れてみようと思います。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

↓実際に、千両を入れました。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

千両は、1本を切り分けて、5本くらいにしていますが、赤丸の部分よりも長くなってしまったから切っただけです。
そして、二種類の松を入れた段階で、壷の口がだいぶ埋まってきていますので、どこにどう挿しても、千両がちゃんと留まってくれます。クルクル動いてしまったり、がくんと下を向いてしまうことがなく、非常に楽に挿せました。

つまり、花材の量と、壷の口の大きさの関係は重要です。壷の口が埋まるほどの量があれば、あまり苦労なく生けられますが、大きな口に少量の花を挿そうとしても、立たないし動いてしまうしで、大変なことになります。

 

微調整する

すべての花材が入りましたので、最後の微調整をします。

千両を挿している最中に、松が動いてやけに広がってしまいました。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

動いてしまった、と思ったら。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

手で引っ張ってなおしたらそれでokです。
本格的ないけばなでは、メインとなる大きい枝を、技術を使ってしっかり留めてから生け始めます。しかし、素人の方がそんなことを真似する必要はありません。崩れても後からなおせばいいだろうの精神で、気楽に挿していきましょう。

あと一点、私が気になっているのは、「松が突っ立っている様」が、口元から見えてしまっている部分です。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

青い○をつけた部分を、千両で隠したほうがきれいだと思ったので、この部分も、千両を手で引っ張って隠しました。

 

出来上がり

上の項の微調整をして、出来上がりとしました。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

ほぼ成り行きで生けました。最初から、「こういう形にいけよう」とは思わずに挿したものです。
素人いけなら、これでもだいぶ上等でしょう。

素人の方がつぼに生けるなら、このくらいの花材の量が無いとキビシイです。参考までに、つぼの高さと、花の高さの割合の目安になる画像を貼ってみます。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

器の高さは、全体の高さのおよそ1/3ほどです。

ボリューム感の割合の目安は、下の画像をご参考に。

実例:なるべく簡単に「つぼ」に生けてみた

↑これを見ると、つぼに生けるということは、結構なボリュームを操ることだと、わかっていただけるかと思います。