花を生け慣れない人が、家で正月花を生けようというときに、どういう器が選ばれるのか……と考えると、
「結局、どこの家にもありそうな、ごく普通の大きさ、ごく普通の見た目の花瓶に生けるのではないか」
と思い、この記事を用意しました。
※花を習った経験のある人には物足りない記事です。経験者は飛ばしてください
この記事では、すごくありきたりな花瓶に、すごくありきたりな正月花材を生けてみようと思います。
他の正月花記事と同様に、誰にでもできるやり方で、何も難しいことを考えず、成り行きだけで生けてみます。成り行き任せすぎて、途中であわてて花材を増やしたりしていますが、そういうところも参考になさってください。
普通の花瓶に、普通の花材で、普通に生けたらこんな感じになります、誰にだって、このくらいの正月花はできますよ、という主旨の記事です。
今回使う花瓶は、こちらです。
この花瓶は、高さ約21cm、口径約7cm。すごく「普通」な大きさで、どこの家にも、このくらいの大きさの花瓶はありそうです。
このような、ありきたりな花瓶に、正月花を生けてみようと思います。
今回使った花材は、以下のものです。
千両は、本当は1本で済ませたかったのですが、途中で「足りない」と思って、急遽半分だけ足したために、「1.5本」になっています。
このような根引き松が3本あったので、
まずは何も考えずに、花瓶に挿してみましたが、
少し長いので、切ろうと思います。
何も考えずに成り行きで生ける場合、枝の長さが、花瓶の高さの3倍以上になると、慣れない人にはなかなか難しくなります(はっきりと、「松を高く使って、あんな風に生けよう」というビジョンがあるなら良いですが)。
しかも、この松の枝は、上のほうにグリーンの葉が集中し、下の方がスカスカなので、このまま生け進めると、「変に頭でっかち」になっていく恐れがあります。なので、無理せずに、はさみを入れることにしました。
まず最初の枝は、こんな形だったので、
↑画像の中の赤矢印の部分で、要するに枝分かれの部分でカットしました。すると、大体半分くらいの長さになります。
半分の長さになったものを、花瓶に挿します。
残りの2本も半分ほどの長さに切って、ここに足しました。
↑3本とも挿した状態です。
1本、不自然に右に出ている枝がありますが、
「最終的に変だったら切ろう」
と軽く考え、このままにして先に進むことにします。
実の付いている部分が5本ある千両が一本。
これを、花瓶の真ん中に挿します。
右に一本だけ枝が出て不自然だと思っていた部分は、「1本だけだから不自然なのであって、もう1本右に出して2本にすれば、そんなに変でもないだろう」と考え、もう一本右に枝を出しました。
真ん中に千両を入れると、4本の脇枝が広がって、赤い色が、なんとなく全体に散らばります。
でも、これだけではまだ全体がスカスカです。特に、下の画像の赤丸の部分がスカスカしています。
赤丸のあたりに、なにか足す必要アリと思ったので、急遽千両を少々足しました(これが、花材リストに書いた「0.5本分」です)。このとき、たまたま千両が手元にあったから千両を足しましたが、なかったら別の花材を足していたと思います。
0.5本分の千両を足したのが、下の画像です。
赤い部分が3箇所増え、なんとなく全体が埋まってきました。
でも、まだまだ下の方がスカスカして、安定感に欠けます。
スカスカ感を解消するために、下の方に松を足します。
足す松は、後ろの方から数本短い枝先を切ってきて使ったものです。下の画像のような、ほんの短い枝です。
これを口元に挿し、いったんできあがりとします。
咲いている花がある方が良い場合は、下の項もご覧ください。
生けてみて、「少しもの足りないかな」と思ったときに、可能ならば、もう一種類花を足してみるという道もあります。
というわけで、豆菊2本を足してみました。
花を、1~2本足すだけでも厚みが出ます。上の画像で加えている豆菊は、色合いが抑えめなので、もっと明るい色を加えれば、パッと明るさを出すこともできます。
以上、成り行きで生けても、まあまあこの程度は誰でもできる、という例でした。