全体的に、最近のお正月のしつらえは、「簡単便利」な方向に進んでいると言えます。だからと言って、おせち料理やお年玉ががなくならないように、門松もまた、町から姿を消したりはしていません。
ただし、昔とは、買う場所が違ってきたり、スタイルが違ってきたり、飾る場所が違ってきたりしていて、「昔と全然変わらない」とも言えなくなっています。この記事では、一般家庭で飾る門松に、最近はどんな種類があるのか、また、それはどこで買えて、どこに飾るのか、などの情報を紹介したいと思います。
※地域によっては、このスタイルではNGの場合もあります
花屋で、「門松」と言えば、若松2本を、門松用に一対にしたもののことを指します。
若松とは、このような松で、まっすぐな長い枝から脇枝が出ている形の松です。これが、2本セットになっている「門松用」の若松を買うか、単品の若松を2本買って、玄関の左右に飾ります。
飾り方は、地方や、各家庭の習慣によって異なり、若松を、そのまま左右に立てるだけのこともあれば、松に輪飾りをかけることもあり、
水引を結ぶこともあります。
また、京都では、根っこのついた「根引き」の松を使います。
門松用若松の値段は、左右一対で500円くらいのものです。生花店・ホームセンター・スーパー・植木屋・工務店などで暮れから売り出します。本当は、12月13日から飾れるもので、花屋の奥には、その時点で若松はスタンバイしているのが普通です。(しかし、今の日本はクリスマスが習慣として定着しましたので、それより前のタイミングで門松を立ててしまうと、ちょっと奇異な感じがすることが多いです)
若松を門松にするなら、大体、お正月花が花屋の前に並ぶ頃、つまり、12月25日頃から買うのが現在の標準です。花屋の店頭に、「門松」が見当たらなかったら、「門松用の若松ください」と言ってみましょう。
若松を一本(を、一対)で立てる門松は、松自身の力では立ちませんので、どこかに固定して立たせなければいけません。よく町中で見るのは、門の周辺に紐などをかけられるところを見つけて、松を結びつける方法です。私が、以前居候していたお宅では、門に釘を2本打ち、そこに松を挟み込んでいました。また、門に打った釘に紐をかけて立たせているものも見たことがあります。
まず最初に、上の項で、「もっとも手軽で一般的」と思える、若松のみの門松を紹介しましたが、人が「門松」と聞いたときに、真っ先に思い浮かべるのは、下のようなものだと思います。
↑これは、普通の花屋では扱いません。植木屋・造園店の扱うものです。または、大きなホームセンターでも買える可能性があります。
このスタイルの門松は、小さいものでも高さ1mくらいで、値段は一対で2万円から上はすると考えてください(2万円で済めば安いです)。
この門松は、自立しますので、立てる苦労はありませんが、大きいので処分するのが大変です。小正月(1月15日)にお寺や神社で焼いてもらうのが一般的ですが、近所でそのように焼いてくれるところがあるのか、その場所まで運ぶ方法をどうするのかなど、あらかじめ考えてから購入する方が良いです。(参考:大きい門松の処分方法)
上の項の門松は、松と竹と藁で構成されたものです。しかし、家庭で大型の門松を置くなら、ある程度の装飾性がある、おしゃれ門松を買う人の方が多いです。
ここで言う「おしゃれ門松」というのは、竹と若松だけにせず、枝物や葉ボタンや、場合によっては造花類や装飾小物を付け、色も形も華やかに仕上げた門松のことです。
つまり、下のようなものです。
このような門松も、植木屋・造園店・ホームセンターなどで買えます。ネットでも売っています。
値段は、竹と松だけの門松と、ほぼ同じです。
現在では、おしゃれ門松の方が商品が豊富で探しやすく、買い易いです。
上の項には、「シンプルな門松よりも、おしゃれ門松の方が多い」と書きましたが、実は、更に主流なのが、おしゃれ門松の少し小さめのもの、いわゆるミニ門松です。
ミニ門松は、大きさは大体60~80cmくらい。置こうと思えば玄関の中の棚などにも置け、フラワーアレンジ感覚に近づいている感のある門松です。可愛げのある門松なので、洋風の玄関にもなじみ、非常に自由に扱うことができます。マンション住まいの人が購入する門松は、ほぼこのタイプだと言っても過言では無いです。
下のようなものが、ミニ門松です。
処分もしやすく、手軽です。門松を買いたいけど、どうしようか……と思っている人は、とりあえず1回ミニ門松を買ってみても良いのではないでしょうか。
もっと気軽に、軽快に門松を導入したいのであれば、更に小さい40~50cmクラスの門松を買えば、フラワーアレンジメントよりも「雑貨」に近い感覚になり、かわいく飾ることができます。
ミニ門松は、造園店・ホームセンター・園芸店などで買えます。もちろん、ネットでも買えます。
実物を見ないで買っても良いと思うなら、ネットの方が豊富な商品を探せます。
値段は、大きさによって異なりますが、大体5,000~10,000円くらいで買えます。80cmくらいの大きさになると、大きい門松と、ほぼ変わらない値段になることもあります。
いわゆる門松よりも、もっと自由に飾れる「門松風装飾品」の方が置き易いな……という場合に、とても気楽に飾れるのが、「門松風フラワーアレンジメント」です。門松のように竹を三本立てて、お正月らしい花材でアレンジメントに仕立てたものです。
「門松風アレンジ」ならば、松飾りではありませんので、「神性」があるものではありません。よって、処分するときも、神社に持って行くようなことをせずに、普通に生花のゴミとして捨てられます。お飾り類の処分は、なかなか頭を悩ませる人が多く(参考:お正月飾りの捨て方、大きい門松の処分方法)、「捨てるのが困るから飾るのをやめよう」という人もいるくらいなので、捨てるときも気楽な門松アレンジは、「門松の雰囲気だけでいい」と思う人には扱い易い飾りです。
フラワーアレンジメントですので、生花店で購入でき、値段は大きさによって異なります。門松風の演出をしているからといって、一般のフラワーアレンジよりも高額なことはありません。
門松風アレンジメントには、プリザーブドフラワー製のものもあります。
生きた植物でなくてもかまわない人、何年か使いまわしたい人、プリザーブドフラワーの方が好きな人は、門松プリザーブドアレンジも、選択肢の一つに入れてもいいでしょう。また、ギフトにしても面白いと思います。ここまで来ると、雑貨感覚で扱えます。安いものなら2,000円台からあります。
門松は、門の両側に一対で置くものというイメージがあります。なので、一対ではなく「一基」で立てたらおかしいだろうかと思う人もいます。しかし、ほとんどの門松を扱う店は、一基から買えますし、一基で置く飾り方もあります。現に、一基で置いている家は、街中で見かけられます。
門松を飾る家の人が、「一基でよい」と思うなら、対で買うことはありません。
上の項まで、「買ってくる門松」の話をしてきましたが、買ってくる以外にも、門松を立てる方法があります。
若松だけの門松は、松を切れる環境(自分の庭や、所有する山など)から切ってきて立てられます。正式にしたいなら、松迎えの作法に則って、身を清めて米や酒をそなえるなどして切るのですが、切る本人が「そこまでしなくていい」と思うなら、ただ鋏で切れば良いです。
フラワーアレンジや、プリザーブドアレンジは、作る技術がある人なら、三本竹のパーツを調達できれば、好きなように「門松風アレンジ」を作れます。
意外に、大型の門松も手作りは可能で、松や竹、わらなどのパーツを買ってきて、自分でくみ上げている人は結構居ます。田舎のほうだと、門松は基本的にその家の主人が作るようなところも多いのです。
現在は、ネットなどで門松用のパーツを手軽に買えるので、むしろ手作りしやすい環境になっています。
大型の門松は、中央に竹が立てられるような容器というか、枠になるものを用意し、そこに竹や松などを挿し、わらを紐・縄などで巻きつければ作れます。
大きいものだとそれなりに労力が要りますし、門松用の竹は、1m以上のものだと全部(一対で6本)で5,000円を超えるでしょうが、そういうものが苦にならなければ、ネットの情報だけを頼りにしても、作成可能だと思います。
作業自体は、そう複雑ではありません。ただ、作ったのはいいけれど、処分の方法に困る、ということになるかもしれません。(※門松の処分方法は、こちらに別記事があります→大きい門松の処分方法)