前の記事:引っ越し時に植木鉢はどうすればいい?(基本知識) に続き、この記事は実践編です。
管理人自身は、実を言うと、植木の引っ越しは、とても簡単なものしかしたことがありません。某町5丁目から6丁目に、大した数でもない鉢類を、家族全員で手持ちではこんだことが一回あるきりです。これは、何の心配も要らず、輸送ダメージを受けた鉢は一つも無く、言わば「理想の植木鉢の引っ越し」でした。
しかし今なら、狭いベランダではありますが、20を超える数の鉢があます。そこで、仮に現在の家からどこかへ、業者を使って引っ越しするものとして、実際の作業をシミュレーションしてみました。
現在管理人宅には、全部で22個、最少は手のひらサイズから、最大で9号サイズまでの鉢があります。材質は、プラスチックもテラコッタもあります。これを引っ越し業者を頼んで、トラック輸送してもらうとすると、やはり何らかの箱に入れて運ぶしかなく、いくつかのダンボールに入れて運ぶというのが一番現実的です。
今、うちの中にあるダンボールだと、こういうものがあります。
この箱は、バラ苗屋さんからバラ用の鉢を買ったときの箱です。つまり、元々「鉢を送る用」の箱です。運よくこういうものが家にあれば、引っ越しに活用しましょう。
このような箱を、資材屋から入手することも可能ではありますが、わざわざ買うことはないです。これは、「一箱に一鉢」入れて輸送するようにできている箱ですので、鉢の数だけ買っていたら、箱代はかかるし、箱の数だけいたずらに増えるしで、大変なことになります。それよりも、そのときに家にある箱や、スーパーで無料でもらえる箱を活用するほうが良いです。
今、我が家にある箱だと、下のような、通販で何か買ったときの箱などがあります。
↑これは、50×30×35cmくらいの箱です。こういうものの方が、小型の鉢を複数入れられて使いやすいと思います。
基本編でも書いたように、引っ越し業者は、動植物は運んでくれません。なので、植物の輸送専用のグッズを、業者は用意していません。洋服やお皿を入れるボックスは、ずいぶん便利なものを用意してくれる引っ越し業者さんでも、「植木用箱」は用意してくれないのです。植木の梱包も、箱類の準備も、自分たちでしなければなりません。
業者さんに、水やりや温度管理をしてもらえないのは、言うまでもないことです。長距離の引っ越しの場合、弱い植物は枯死する可能性があることをあらかじめ覚悟しておきましょう。
もしも、絶対に枯らせてはならない植物があるなら、自分で車か手持ちで運ぶか、専門業者の利用を検討しましょう。
鉢の引っ越しを頼める専門業者とは、造園関係の業者になります。植木鉢のために、もう一台トラックが来ることになるわけで、依頼すれば、それなりの値段がかかります。私の個人的な考えでは、かなり専門的なガーデナーさんや、植物だけでトラックがいっぱいになるほどの株数がある家や、研究者レベルの貴重なものを持っている人でないと、専門業者まで発注することはないのではないかと思います。
私自身、かなり思い入れのある鉢も持っていますが、自分が引っ越すときに、専門業者を頼むなどは思いもよらないです。
実際の箱詰めの手順を紹介しましょう。
まずは、直径14cm、高さ9cmくらいの小さい鉢から。
植わっているのは黒松です。
松は丈夫なので、過酷な輸送状況にも耐えられます。でも一応、土が完全に乾いてしまうのは、できれば回避したいので、引越しの前日の夕方くらいに水をやっておきたいところです。
この鉢を、二重にしたレジ袋に入れます。
二重にしたほうが安心かと思うので、私なら二重にします。
袋の口は、ふわっと結んでおきます。
袋に入れた鉢を、ダンボールに入れます。
この鉢の大きさだと、いくつかの鉢が入ります(鉢の大きさによりますが、うちにある鉢なら3~4個入りそうでした)。
この鉢の場合、植物がつかえて、ダンボールの蓋を閉められなかったので、上の画像のように蓋を立てました。立てた蓋を、ガムテで固定し、上部には特に覆いをかけません。このまま引越し屋さんにわたします。
あまったスペースには、同じように梱包したほかの鉢を入れ、最後に、鉢と鉢の隙間に、丸めた新聞紙などを詰めて、箱の中で鉢が動かないように固定します。(箱に穴を開けて、紐を通して固定する方法もありますが、新聞紙の方が断然楽です)
上の項では、鉢そのものも小さく、植物の丈も低いものを扱いましたが、この項では、もう少し大き目の鉢を梱包してみます。(水やりは、上の項と同様で)
6号鉢に、樹高43cmくらいのバラが植わっています。
バラなので、細かいトゲがあります。トゲのケアもしなければなりません。
バラは、品種によってはデリケートですが、この画像のバラは荒々しい原種系でして、ダメージは受けてもしぶとく復活するタイプです。なので、枯死はまず無いと思っていますが、万が一枯れてしまったら、「残念だった…」ということになります。
実際の作業手順を紹介します。まず、小さい鉢と同様、二重のレジ袋に入れます。
43cmの樹高を、このビニール袋ではカバーできないので、ほかのものでカバーすることが必要です。
どこの家にもある新聞紙でカバーすることにしました。
新聞紙一枚で、鉢の周りをぐるっと包み、ガムテープで貼って留めます。
ビニール袋を上まで伸ばし、袋の上から鉢に輪ゴムをかけます。
この場合、レジ袋の取っ手を持てば、手で下げて持ち歩けます。
持ち歩けるようにしておきたければ、取っ手をフリーにしておきましょう。
絶対に持ち歩かないし、取っ手がプラプラしてると引っかかりそうでイヤ、という場合は、取っ手を新聞紙にガムテで貼り付けてしまいましょう。
上の画像の状態にしてから箱に入れますが、6号鉢くらいになると、箱の底が抜けないように、底をガムテで補強しておきます。
ものすごく重い鉢を入れるなら、もっと頑丈になるように補強するか、もっと丈夫な箱を用意するか、いっそ箱を二重にするとか、対策を考えますが、上のような鉢なら、まあこのくらいで大丈夫でしょう。
補強した箱に、包んだ鉢を入れます。
この状態だと、隣にもう一鉢くらい入れられます。
一鉢しか入れない場合も、二鉢以上入れる場合も、必ず最後に隙間に詰め物(クッション材や新聞紙を丸めたものなど)をして、箱の中で鉢が動かないようにします。
上にも書いたように、現在うちには大小あわせて鉢が22個あります。これらの鉢を、箱に1~3個ずつくらい詰めるとして、せいぜい少ない箱数でおさめようとしても、8~9箱くらいにはなってしまいます。
うちのような家は、本来は「単身パック」のような引っ越しプランで済むのだと思います。その程度の引っ越しで、鉢ものの箱が10個近くあるというのは、どうもバランスが悪いです。そもそも、鉢ものの存在があるがために、お得な小規模引っ越しパックを申し込めないおそれがあります。
なので、現実に引っ越しするとしたら、私は引っ越しが決定した瞬間から、じわじわと鉢の数を減らしていくと思います。
うちの場合の「鉢の減らし方」は、以下のようなことを行うでしょう。
誰でもそうするべきだとは言いませんが、私が引っ越しするなら、一部の植物を強剪定するかもしれません。
強剪定というのは、ものすごく小さく刈り込んでしまうということです。上に画像を貼った6号鉢のバラなどは……
上の画像の、赤いラインあたりで切ってしまうかもしれません。つまり、ほとんど丸坊主にするということです。
「切っても枯死するほどのダメージを負わない」
「万が一、強剪定が原因で枯死してしまったとしても、あきらめられる」
と思ったら、私は多分、強剪定してしまうと思います。
現在の我が家の植物なら、真っ先に強剪定の候補にあがるのはこの鉢です→ロサ・ホリダ 現在では、丈も倍以上に伸び、しかも全体に鋭い鉤爪をびっしりとつけ、これを何かで巻いて梱包し、それを運ぶことを考えると呆然とします。
第二候補にあがるのは、サンキライ、第三候補はアイビーです。いずれも、ぞろーーっと長くて、扱いが面倒で、切ってしまってもすぐに復活しそうな植物です。
ロサ・ホリダなどは、強剪定してしまえば、1/4くらいの嵩にすることができます。
苦労して大きな鉢を梱包するか、思い切って強剪定するか、両者を天秤にかけ、自分にとって重要だと思うほうを選択すれば良いと思います。