家の中に飾れる花は、花屋さんで買ってきたものばかりとは限りません。その辺で取ってきた雑草でも、可愛く、美しく飾ることができます。
取ってくれば無料ですし、採集の楽しみも得られますので、大いにオススメです。
花屋の店頭では出会えない植物の表情を、きっと見つけることができます。
特に山林や空き地まで出向かなくても、家の回りにも雑草は生えているものです。
庭のある家なら庭に生えている雑草を、まずはゲットしてみましょう。マンションなどの集合住宅でも、建物の周りをぐるっと歩くだけで、なんらか手に入るのではないでしょうか。それでも駄目な場合でも、近所を2~3分も歩けば、必ず何かあるはずです。
管理人宅の近所で簡単に手に入る雑草を、例としてあげてみましょう。
ニワゼキショウ、ぺんぺん草、カタバミ、タンポポ、タツナミソウ、エノコロ草、ハルジオン etc
↑このくらいなら、どこでもあると思います。
ちなみに上のリンク先は、当サイトの付属ブログの「自分が使った花材事典」の記事に飛びます。各記事には、ミニ花瓶や、空き瓶、香水瓶に挿している画像を貼っているものもあります。ほとんどが短めに切ってちょこっと挿しただけですが、かわいいものです。
雑草を扱う場合、短めに飾るのは、結構な有効技です。自然の中の植物は、自由奔放に生えていて、「草ぼうぼう」な姿が多いので、それを人間の居住空間にあわせるには、ワイルドな「ぼうぼうの部分」を抑え目にしてやると、収まりがよくなるのです。
「丈をつめる」
「大きすぎる葉は取り除く」
「張りすぎている横枝は落とす」
などの作業で「ぼうぼう」を抑えてやると、花屋で売っている切花にも負けないものになります。
参考までに、雑草(カタバミ)と、花屋で買った切花を並べた画像を貼ってみます。
左の黄色い花が雑草、右が買ってきたアネモネです。
もちろん、「ワイルドなままを楽しみたい」という場合には、思い切り「ぼうぼう」のまま使ってください。
また、「ぼうぼう」はいやだけど、どのくらい切ったり取ったりすればいいのか分からないという人は、とりあえず少しずつ切っていったらいいのです。切りすぎてしまっても、最終的に「花首だけちょこっと飾る」という、誰も失敗しない飾り方が残っていますので、それほど神経質になることはありません。一本500円もするバラをずんずん切るのは大分勇気がいりますが、雑草なら気兼ねなく鋏を入れることができるので、遠慮なく切っていってください。
私の経験によれば、雑草を飾る器は、小さめで、あまり装飾に走り過ぎないものが良いようです。
しかし、花を飾る面白さには、組み合わせの面白さが大きく含まれているものですから、高級花器に雑草がばっちり合う可能性も十分あり得ます。楽しんで、色々試してみるのが一番です。ステキな組み合わせを発見したときの喜びはひとしおです。
素敵かどうかは分かりませんが、私がネジバナを戯れに生けたときは、こんなふうにしました。(ぐい飲みに生けた、手のひらサイズの花です)
↓ ↓ ↓
家の周囲から少し足を伸ばして、空き地・山林・河原などに行ってみると、都会でも「この花見たこと無い」というような植物に出会えることがあるものです。お散歩がてら、植物採集を楽しんではいかがでしょうか。
東京23区内で、私が自分の目で確認した範囲だけでも、
ノバラ、ノブドウ、アザミ、ホタルブクロ、葛、カワラナデシコ、ミズヒキ、ヨウショヤマゴボウ、アカマンマ、つゆ草、コバンソウ、カラスノエンドウ、ジシバリ、山吹、笹、羊歯
などが見られました。探せばもっとあると思います。
野生のホタルブクロがさりげなく飾ってあるおうちなどは、本当に素敵です。園芸種のように、茎がまっすぐなわけではないので、飾りにくい場合もあるかもしれませんが、「花はまっすぐ飾れ」などと定められているわけではありませんので、そんなときには、曲がったままを生かすのが楽な方法です。
上の項でも解説しているように、このような野生植物は、姿がワイルドですから、ある程度、葉や枝を整理するために「どんどん切れ」と上には書きましたが、慣れてきたら、葉っぱの少し茶色いところなどは、残して風情を出すくらいの演出もしてみてください。花屋さんで買ってきた出来合いの花束より、ずっとかっこよく生けられるかもしれません。
まるで花屋さんの花束に入っているような花が、採集で手に入ったらすばらしいです。
私は、多摩川の河原で、可憐に花をつけているノバラを見たことがあります。それは、花屋さんで売っているミニバラに、美しさで引けを取るものではありませんでした。
また、私の育った千葉県某所には、その辺の山林に、ぽつぽつと山百合が咲いていたものです。
山百合は、実は高級花の代名詞にもなる大型の白百合カサブランカの交配親です。花の大きさも、店売りのカサブランカとほぼ同じか、うっかりするとそれより大きいものもあるくらいです。山の中でこの花に出会うと、大きさにびっくりします。
実物の山百合を見たことがある人はお分かりでしょうが、カサブランカとほぼ変わらぬ姿をしていて、(花弁に、茶色いぷつぷつが付いているだけ)私などは、野趣にあふれる山百合の方が、むしろ花としては味があるのではないかと思っています。
比較のために、下に画像を貼ってみました。真っ白な方がカサブランカ、茶色い斑点が入っているのが山百合です。
このように、雑草でも馬鹿にできないことがわかっていただけると思います。
私の育った町には、空き地や、田んぼのあぜ道に、花をたくさんつけたアザミなども咲いていました。それより小さいアザミでも、今花屋さんで買えば、結構な値段がします。近所で採集できるものなら、アザミなどは買うことはありません! 空き地からの直送品を飾りましょう。
上に書いてきたように、その辺から取ってきた植物でも、十分家庭で飾って楽しめます。
しかし、切り花用に作られた品種と違い、植物によっては花の持ちが悪い場合があります。当サイトでは、切花を持たせる方法も紹介していますので、お役立てください→切り花を長持ちさせる方法
品種的にどうしても水揚げが悪い場合もあり、その場合には対処方法がほとんど役に立たないことが考えられます。何度も同じ花を飾っていると、経験で「これは持たない花だ」と分かってきますので、嫌だと思ったら避けるのも手です。
しかし反対に、無料で手に入れてきた雑草こそ、短い命を楽しもうという楽しみ方もあります。好きな方法で、花を楽しんでください!