こちらの記事から、「素人でも簡単に、お安く正月花を飾れる」ことをテーマに記事を書いてきましたが、では、一番簡単な正月花のいけ方は何かと考えてみました。
その前に、「正月花」に限らず、「花の飾り方」として、一番簡単な方法は何かと考えると、結局、「ありきたりの花瓶に、一種類の花を、数本ただ挿すだけ」ではないかと思います。これなら、どんな人でもできるはずですので、この方法で生ける正月花をいくつか紹介してみます。
上記のような、「ありきたりの花瓶に、一種類の花を、数本ただ挿すだけ」で正月花にしようとすると、花材は何にするのがふさわしいでしょうか?
松は、この場合はあまりふさわしくありません。松だけ、花瓶にざくっと挿しても、面白みに欠けます。とくに、若松はただ突っ立っているだけに見えるので、
「花を入れ忘れた?」
と思われる危険性さえあります。
では、根引きや五葉や大王松ならいいかというと、これらのような力強い松を、一種類だけしか使わずに生けこなすのは、いけばなの経験を相当積んでも難しいです。
一目で「正月花だな」と分かる、象徴のような植物である松が使えないとなると、一体何を使えばいいのか?
私なら、「千両なら、大丈夫!」と思います。
これなら、お正月の玄関に飾っても大丈夫でしょう。
↓ ↓ ↓
↑の画像は、この花瓶に、千両を二本挿しただけです。なんということは無い花ですが、これなら「正月らしい」と言えると思います。
千両の良いところは、
などの要素です。
梅やロウバイも、単体で飾れますが、いずれも千両ほどの正月ムードを出すことはできません。千両と同じくらい、一種類で正月ムードになるものと言えば、私は万年青くらいしか思いつきませんが、万年青は、生けるのはプロに任せたほうが良いような花材です。
千両は、茎にある程度の固さがあって、口の広すぎる花瓶さえ選ばなければ、自力で立ってくれますので、べろーんと寝てしまうことがなく、初心者でも扱いやすいです。
下の画像は、口の広すぎる花瓶に入れたために、千両が自立できない場合の例です。
↑こうなる場合は、もっと口の小さい花瓶を使いましょう。
千両は、ほかの花ものと取り合わせることもできますし、赤と黄色の二色があるので、「赤千両」「黄千両」を混ぜて挿してもきれいです。
千両は、松に比べると、普通の花ものに近いので、「普通の花を、普通の花瓶に飾ったことがある人」なら、何の抵抗も無く飾れる花材です。
千両は、きれっぱし程度でも、ちゃんと花瓶に入れれば見られるものにできます。きれっぱしを集めて、ただただ小さい花瓶に挿したら、それだけでOKです。
下の画像は、10cm程度の千両のきれっぱし3本だけしか使っていません。
↑これは実際に、ある年の我が家の正月花でした。
千両だけを生けたところに、せめてもう一種類何か足す、ということも可能です。
もちろん、何でも好きなものを足したらよいのですが、何か一種類選べ、と言われるなら、金柳などはどうでしょうか。
松を加えると、気軽な花瓶生けにおさまらなくなるかもしれませんし、花物は千両の中に入れ込むのが面倒かもしれないし……ということを考えると、千両にちょっと足す程度で入れられて、しかもお正月テイストの強いものは何かと探したときに、「金柳だったら、結構安易に足せる」と思います。
例として、上の項の千両に、金柳を足してみました。
千両を少し派手にしよう、というくらいの気持ちで足せばOKです。千両から、飛び出すくらいの長さにしないと、せっかくの柳の伸びやかさがなくなってもったいないです。
もっと正月らしくしたいなら、結び柳にすると、さらにそれらしくなります。
柳の枝先を、ただ一重結びにしただけです。金色の輪が、お祝いの雰囲気を高めます。