前の記事に続き、少ない花の数で、ただ挿すだけで技術もいらず、でもお正月花の雰囲気は出せる花の例を紹介します。
前の記事同様、本格的な正月花を生けたい方には、参考にならない記事です。小さく、簡単、シンプルにささっと生けたい素人の方には、参考になることもあるかもしれません。
ただ、お正月らしい花瓶に、お正月らしいものを挿すだけの正月花です。「お正月花らしいものの力」だけで乗り切っていますので、花を生ける技術は要りません。
まず、花瓶からして正月色を濃くさせます。正月らしい器が無くても、小道具を使って正月風花瓶に仕立てることはできます。
たとえば、下のようなゴムひもがあれば、
(お菓子かお赤飯の箱についてた紐です)
花瓶の口に巻いて、「紅白のおめでたい系器」に変身させることができます。
そこに、金柑の枝を一本。
蜜柑や金柑のような「実りのもの」は、縁起が良い花材に数えられますので、「正月花材」です。金柑などの柑橘類が家の庭になっているなら、実がついているところを、ほんの一枝切って花材にできます。柑橘類で無くても、何か実のついた花材があれば活用できます。
私なら、上の「金柑一枝」だけでも十分正月花になると考えますが、やはり松が無いと格好がつかないと思う人は、松を足しましょう。
小さな松の、枝先だけあれば十分です。松が入れば、「完全に正月花」と言って大丈夫です。
でも、もっと華やかさが欲しい人は、ゴールドの水引など入れてみてはどうでしょう。
紅白のひも付き花器・松・実り(金柑)・水引、以上の4要素は、すべて「正月テイスト」です。
金柑も、松も、水引も、すべてただ挿しただけです。技術が無くても、絶対に「正月テイスト」にできます。
上の項にも書きましたが、実のものは、おめでたい花材として扱えます。
加えて、いけばなを習っている方はともかく、一般的な家庭の花飾りで「実もの」を生けることはあまり無いと思います。普段あまりしないことをハレの日すると、特別感のある花生けに見えます。
若松の小さい枝のところを切って挿し、ロウヤ柿を一枝だけ入れました。ミニ花瓶で、口が小さいので、松も柿も、ただ挿すだけで直立します。
上の画像で、特別感を盛り上げているのは、一個の柿の実の存在です。たった一個で、「ハレの日」の雰囲気を出してくれます。もちろん、ロウヤ柿に限らず、ほかの実ものでも同様です。
例1の画像と、似たような花になりますが、花瓶以外に何が違うか分かるでしょうか。
↑緑の花材が、松ではなくなっています。緑の樹木のように見えるものは、アスパラガスの仲間のミリオグラタスといいます。(参考 自分が使った花材事典:ミリオグラタス)
雰囲気だけの正月花で良いのなら、アスパラを松に見立てて生けても良いのです。
松を生けることに大きなこだわりがあるならすすめませんが、正月花材は、限られた数種類の中で選ぶものではありません。正月に、自分が生けたいものが正月花、でも良いのではないでしょうか。