※「花を生ける緑のスポンジ=オアシス」をどこで買うのか、簡単に買えるのか、簡単に使えるのかを、手っ取り早く読みたい方はこちらをどうぞ→オアシスのまとめ
花の世界で、一般的に「オアシス」と呼ばれているものがあります。これは、フラワーアレンジメントの底に仕込んである、緑のスポンジみたいなもので、上に貼ってある画像はその一種です。
実は、オアシスとは、この緑のスポンジの正式な総称ではありません。生花用の給水スポンジを販売している最大手企業の「スミザーズ・オアシス社」の給水スポンジが、商品として最も有名であるため、いつからか、給水スポンジ自体を指してオアシスと呼んでも通用するようになりました。(「正式な名称」を重んじる人は、給水スポンジ、または給水フォームと呼びます)
オアシスは、花が自由な角度に留まるので、大変便利な道具であり、花を飾る楽しみを大きく広げてくれます。花屋的には、在庫を切らしたら、仕事が成り立たないほどの必須ツールです。
オアシスの使い方等の情報は、下記のようになります。
カットするには、専用のオアシスカッターも売っていますが、家庭にあるカッターで問題ありません。脆いものなので簡単に切れます。私は、古い下敷きで切ったこともあります。触ってみれば分かりますが、「吸水スポンジ」と言っても、皿洗い用のスポンジなどとは違い、切るのに「刃」は必要ありません。現に、専用のオアシスカッターも、単なる薄い金属板であって、刃は無いです。
切り方は、よほど厳密にするとき以外は、定規などは必要ありません。およその大きさで切れば後で調整できます。オアシス本体に、ラインや点線が入っているので、それをガイドにして器の大きさに合わせるように切りましょう。
商品によっては、ガイド線がまったく無いものもあります。私は、長年オアシスを扱ってきましたが、個人的にはガイド線はあった方が使い易いと考えています。
切り方に、特に決まりごとはありません。実は、このページには、「アオシス 切り方」「オアシス 切る方法」などのキーワードで訪問される方が多く、切り方のノウハウが求められているようなのですが、別に難しい技術も、裏技的なことも無いのです。
最初は、「切り損なっても、後からどうにでもなる」くらいの大らかな気持ちで切ればいいです。慣れてくれば、手が勝手に「合理的に、美しく」切るようになります。
※ブログに関連記事あり→新・花の情報局のblog:謎のオアシス発見
バケツか何かに水を張り、オアシスをポンと浮かべます。オアシスが徐々に水を吸い込んで沈んでいき、完全に水に沈んだらスタンバイOKです。
手で無理に沈めることはせず、自然に沈むのを待ちます。(通常のサイズなら10分くらいで沈みますが、私は個人的に「沈んでから30分は待つ」のを習慣にしています)
花をいけたい器にオアシスをセットします。
いわゆる「花器」でなくても、もらったフラワーアレンジメントの残りの籠でもいいし(籠の場合、水が漏らないようにセロハンをしっかり敷く)、鉢カバーでもいいし、食器でもいいです。
ただ、透明なガラスに詰め込んで使うのは、私はあまりお勧めしません。オアシスが丸見えで、どうも美しくないと思うので。
セットするこつは、器の中でオアシスがガタガタ動かないようにすることです。オアシスを持って持ち上げたときに、花器から抜けないくらいにしっかりはめ込みます。
私は自分の教室でフラワーアレンジメントも教えますが、うっかり器より小さく切ってしまって「あーーーー」という生徒さんがいます。しかし、残ってるオアシスを切ってきて、はじっこに詰め足し、しっかりと動かなくなるようにしたら、それで生けられます。
器の中のオアシスが何ピースかに分かれていても、花は生けられます(分かれていない方が良いには違いないです)。動かないようになっていれば、大丈夫です。
(参考:ブログのこちらの記事:オアシスを捨てる画像 で、管理人がリアルにオアシスを捨てるときの様子をアップしていますが、「きっちりはまったオアシスがなかなか器から抜けない画像」があります。そのくらいきっちりがいいです!)
大体、器の口から、オアシスが数センチ飛び出すようにセットしてください(器の大きさにより、飛び出す寸法は加減します)。
オアシスは花を挿すと穴が開きます。なので、あまり挿し直しをすると穴ぼこだらけになってしまいます。
少しくらい気に入らなくても抜かないで、「ほかの花でカバーしよう」というくらいの気持ちで挿すのが良いでしょう。
どうしても挿し直しすぎて、結果的にオアシスが蜂の巣状態になって使い物にならなくなってしまったら、仕方ないのでオアシスをひっくり返します。つまり、器から一度抜いて、上下さかさまにするのです。すると、下側の、そんなにダメージを受けていない面が現れますので、そちらに花を挿していきます。
挿し方のこつは、深く確実に、花がぐらぐら動かないように挿すこと。
最初はどこまで挿していいのか分からず、1センチくらいちょこっと挿す人が多いようですが、基本はオアシスの底まで挿すべし。籠にセロハン敷きの場合は、セロハンを破らない程度に底近くまで挿すべし。
一度オアシスに挿した花の向きを変えることは、基本的にはしないようにします。穴の中で、茎をぐりぐりやってしまうことになり、結果的に穴が広がり、花がしっかり留まりません。入れたいところに、一発で花を入れていけるものだと思ってください。
よく、オアシスを使ったフラワーアレンジには、水を足す必要はないと思っている人がいますが、それは間違いです。手のひらサイズのアレンジなど、普通の花瓶より、入る水が少ないくらいなのです。季節によっては、一日で水が無くなって、カサカサになってしまうこともありえますので、毎日様子を見て、水が足りないと思ったら足してください。私はいつも、器いっぱいになるまで水を張ります。
水を足すときに、気を付けないと、横からじゃーじゃーあふれることがあるので、注意して足してください。
オアシスの捨て方は、自治体により、「可燃」のところも、「不燃」のところも、「プラごみ」のところもあり、分別区分が異なります。よって、詳しくは、各自治体で確認してください→参考:オアシスの捨て方 ブログにもオアシスを処分するときの画像をアップしています
オアシスを買える場所は、以下のようなところです。
軽いけれど、かさばるので、まとめ買いする場合には通販が便利です。
値段は、1個200~300円くらいです。セールだと、1個100円くらいで買えることもあります。私は東京堂という資材屋の会員なので、そこから仕入れています。素人の方が、なるべく安い値段で買おうと思うなら、現在は楽天市場で探してみるのが一番良いのではないでしょうか。(とにかく安ければ良い、という人は、100均が安くて便利ですが、特におすすめはしません)
フラワーアレンジメント系の団体や、いけばな流派に属している方は、所属先の販売部門などで安く買えることがありますので、確認してみましょう。
「オアシス」以外のメーカーの主な銘柄には、このようなものがあります。
上の項でも言及しましたが、オアシスは100円ショップでも販売されていることがあります。しかし、私は使用したことが無く、実際に使った人に、「吸水性があまり……」と聞いたことがありますので、お勧めしたいとは思いません。
各銘柄の中で、どれが良いのかという比較の話しをしますと、私の考えでは、あまり個々の銘柄に差はありません。私は、オアシス社の製品が圧倒的に良いとも思っていません。花業界の中でも、「この銘柄が最高」という共通認識は無いと思います。
花の道具・資材は、似たようなものでもそれぞれに好きずきが分かれることが多く、小さな道具でも、「○○社好き派」と「△△社好き派」が激論するようなことがありますが、吸水スポンジについては、そういう議論をした覚えがありませんので、本当に各社横並びのように思います。
私個人は、自分で吸水スポンジを買うときには、いつもオアシス社のものを買いますが、それは東京堂(私の主力資材調達先)がメインでそろえている吸水スポンジがオアシスのものだからです。あと、長年オアシスを使ってきた習慣と惰性みたいなものもあって、わざわざほかの銘柄を買おうとは、あまり思わなくなっているだけのことです。
はじめてオアシスを買うなら、特定の目的が無いのであれば、いわゆる一番普通なレギュラーサイズ(約 W23×D11×H8cm)を買うのが良いでしょう。私も、単なるストック目的で買うのはこの大きさです。
たくさん消費する予定が無く、「好きなときにフラワーアレンジメントを作るため」という目的で買うのなら、まずはばら売りで、2~3個も買ってみてはどうでしょうか。
まとめ買いすると、安く買えるのはメリットなのですが、かさ張るので10個も買ってしまうと結構邪魔な物体になります。ほかに転用する使い道も少ないので、使わなかった場合は、本当に「無駄な買い物」になってしまいます。
何度か使っていくうちに、
「自分は、ストックを持つ必要は無い。要るときに買いに行けば十分」とか、
「ストックが、最低でも10個は無いと困る」とか、
「箱買いしないと、コスト的にやっていけない」とか、
「ハーフカットサイズの方が助かる」とか、
自分に何が必要なのかが分かってきます。
注意する点として、オアシスを買いなれていない方は、「生花用フォーム」かどうかしっかり確認してから買いましょう。
ドライフラワー用フォームだと、水を吸いません。生花用フォームにドライフラワーやプリザーブドフラワーを挿すことはできますが、その逆はできないので、無駄になってしまいます。生花・ドライ・プリザ兼用のものならいいのですが(そういう商品もあります)、買って帰ってから「ドライ専用だった」と気付いたら、かなりがっかりすることになります。
オアシスは、そんなに急いで使い切らなければならないものでもありません。しかし、いつまでも保存できるというものでもありません。
私個人には、長期保存の経験自体が無いのですが(うちでは、それほど膨大なストックを置きませんので、順調に消費してしまうためです)、オアシス利用者として、常識的な推測をしてみるなら、1年前くらいのオアシスは、十分使えるだろうと思います。ただ、よほど変な場所に保存するなどして、見た目に変化があるようなら、1年経たなくても「使えない」と判断するべきです。
2年もたってくると、見た目が大丈夫でも、劣化していないか疑う方が良いです。少なくとも、切ってみて、内部の色を見たり、一部を実際に吸水させてみて、水を吸うのか、水が変色してこないか、挿し心地が新しいときと違わないか、などをチェックしましょう。チェックして、「大丈夫」と思ってから使用しましょう。
2年を超えたら、ダメになっているものと思った方が安全です。使うとすれば、「ダメモト精神で自家使用」にしておきましょう。
オアシスの「消費期限」については、公式HPにも記載がありませんので(結構調べましたが、見つかりませんでした)、使用者の常識の判断になってきます。(参考:ブログに、完全に変色したオアシスの記事があります→花の情報局のblog 謎のオアシス発見)
オアシスを、どこの家にでもある何かで代用できないかと考えますと、現状では「できない」とお答えすることになります。
身近なもので花留めを作る、という意味では、ワイヤーなど使って作ることもできますが、
「軟らかい物体で、植物を挿しこんだり、抜いたりでき、花を生けられるもの」
となると、日常生活の中ではちょっと見当たりません。(ほかの花留めで代用しても良いのであれば、剣山やプラスチック花留めなど、いろいろな製品があります→参考:花留め)
オアシスは「吸水スポンジ」とも言いますが、食器洗い用のスポンジなどとは固さ、脆さが違うので、「スポンジで代用する」ことはできません。
よって、「オアシスのようなもの」にフラワーアレンジを生けようと思ったら、やはりオアシスを入手しないといけません。
夜中にオアシスが切れて困るようなことが予測される人は、最低限のストックを持っておきましょう。(※「最低限」の数は、人によって異なります。ちなみに、私は10個程度のストックを心がけており、部屋がせまいので、この数が限界です。花屋なら、当然48個入りを何箱かストックするべきです。趣味で作る方なら、1個か2個のストックでも十分です)
【豆知識】
「オアシスの代わりに〇〇を使う」ではなく、「〇〇の代わりにオアシスを使う」ということなら、「オアシスを、挿し木用土の代用に使う」ということがあるそうです。水はけがよく、清潔で有機的に余計なものがないオアシスは、挿し木するのに向いているのだということです。
一般的には、、オアシスはフラワーアレンジメント用の道具だと認識されています。
しかし、現在では、生け花作品にも、ごく普通にオアシスが使われています。剣山を仕込みにくい器や、剣山では固定し難い花材を挿すために、オアシスを使うことをためらう生け花家はもはやいないと思います。
なので、生け花家も、オアシスの扱いを一通りは心得ておくべきです。オアシスを使う稽古を必須にすることは無いですが、興味があるなら一度くらい扱って、花留めとしての可能性を見ておくのは無駄ではありません。
生け花の世界で、「オアシスの使いの作法」などというものはありません。しかし、最低限、「見えないように使う」ことは必要です(作品上、見せることに意味があるなら別ですが)。また、安易なオアシスの使用は、多分嫌われます。「これは、オアシスで留めているな」と気付くと、作品のあり様によっては興ざめする場合があるものです。
※オアシスを買おうかどうしようか迷っている人や、簡単に使えるかどうか手っ取り早く知りたい方のために、情報をまとめて書いておきます
一般名称は、「生花用吸水フォーム」、または「生花用吸水スポンジ」という。ただし、商品名やブランド名で俗称することの方が多く、最も使われている呼び名は「オアシス」。
(稀に、「スポンジの剣山」という人がいます。←何のことを言ってるのか分かるところがスゴイ)
レギュラーサイズ(約 W23×D11×H8cm)の1個売りで、200円~300円くらい。店により異なる。品質にこだわらなければ、100均で100円のものが買える。
現在は、ネットで一個から買えるので、買うのは非常に簡単と言えます。
花のプロでない方が買うのであれば、「近所の花屋で聞いてみる」→「ネット買い」の順序でいいでしょう。たまたま行動範囲の中に花の資材屋がある人は、資材屋に行ってみれば、色々品物を選べます。資材屋でも、1個売りしています。
簡単に使えます。切って(大きさによっては切る必要なし)、水を吸わせ、器に詰めて使うだけなので、扱いは難しいものではありません。「フラワーアレンジメント教室に初めて来た超不器用な人」でも、オアシスセットは自分でできます。
ただし、「切る→吸水→セット」の作業すら面倒と感じる人には、向かない素材です。また、捨てるときに、水を切って捨てる(私は、手で絞るかベランダに放置して乾かします)のが面倒だと思う人も同様です。
自分が、上記のことを面倒だと感じるかどうか分からない人は、一度扱ってみたら良いと思います。扱って、「好きじゃないな」と思ったら、次からは使わなければいいのですから。
1回限りの使い捨てです。なので、ゴミになることを嫌って使わない人もいます。
使用したオアシスが、意外に少ないダメージで済むと、「これを乾かして、再利用できないだろうか」と思う人がいるようですが、一度吸水させて乾いたオアシスは吸水性が落ち、物体としてもろくなり、二回目の使用には耐えらません。
ただし、水を含んだままなら、再利用は不可能ではありません。挿してある花を抜き、オアシスをひっくり返してきれいな面を出し、もう一回使うことなら、私もやります。
私は、出入りしている花屋から卸値で分けて貰うか、東京堂で仕入れ会員価格で買います。たまに、特殊な形をしたオアシスを、ネットで1個買いすることもあります。
扱いについては、私は、素人にも使える簡単・便利なツールだと思っています。扱ってみて、好みか好みでないかで、愛用するかどうか決めればいいのではないでしょうか。