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実例:「1,500円のお正月束」を活用してみる……水盤に生けてみよう

前の記事からご覧ください。

この記事では、簡単ながら「1,500円のお正月束」を水盤に生けてみることにします。深く考えず、手軽に正月花を生けたい方は、どうぞご参考に。

そもそも、1,500円程度の正月束で、水盤に生けて様になるものができるのか?と思っている方は、この程度ならできるという実例としてご覧ください。

 

目次 実例:「1,500円のお正月束」を活用してみる……水盤に生けてみよう

  1. この程度なら生けられます
  2. 上の画像のような「正月花」を生ける際の、8つのポイント
  3. ポイント1:松は、とりあえず「立てる」
  4. ポイント2:中心になる部分に、「きれいなもの」を配置して、なるべくスカスカにしない
  5. ポイント3:一番低い花は、「水面のちょっと上」くらいまで下げても大丈夫
  6. ポイント4:シンメトリーを破ったほうが生け花的になる
  7. ポイント5:花ものの長さは、全部同じにしない方が生けやすい
  8. ポイント6:長い花材は切り分ける
  9. ポイント7:素人なら、「自分が良いと思った長さより、もうちょっと短めくらいに切る」とカッコイイ
  10. ポイント8:素人なら、「自分が良いと思った傾きより、もうちょっと花を寝かせる」くらいがカッコイイ

この程度なら生けられます

さっそく、「水盤に生けた1,500円の正月花」の画像を出しますが、3点前置きさせてください。

  1. 3分程度で、さッと生けた花です。深い思想や創造的コンセプトは何も無い花なので、そういうものは期待しないでください
  2. 誰にでもできるような花にしたつもりです
  3. 管理人が、長く草月流を習っているために、なんとなく草月の基本花型に似たものになってしまいました

ということを踏まえていただいて、下の画像をご覧ください。このくらい生けられれば、素人生けとしては十分ではないでしょうか。

実例:「1,500円のお正月束」を活用してみる……水盤に生けてみよう

このくらいの正月花なら、素人でも10分程度で生けられます。

 

上の画像のような「正月花」を生ける際の、8つのポイント

「最低限、このポイントだけ抑えれば誰にでもできる」というポイント8ヶを、下の項から挙げてみます。8つ全部のポイントを採用するのは大変だと思ったら、自分にも取り入れられそうなところだけ選んで真似してみてください。

 

ポイント1:松は、とりあえず「立てる」

本当は、直立させずに少しくらい横に振ったほうが生け花らしい形になることもあるのですが、立てておけばとりあえず無難におさまります。
また、ざくっと直立させるだけなら、倒れてくる危険が少ないので、縁起物としてはその方が安全とも言えます。

 

ポイント2:中心になる部分に、「きれいなもの」を配置して、なるべくスカスカにしない

素人の方なら、「出来る範囲」でいいので、中心部分になるべく花材のきれいな部分を入れてみてください。真ん中が空いていると、寂しい上に、大ヘタに見える可能性が高まります。

素人の方でよくあるのが、「切る勇気」が無いがために、全部の花材が長いまま棒立ちになるという状態です。そうすると、えてして中心部に花や千両の実のような「見どころ」が無くなり、真ん中が寂しいスタイルになります。

 

ポイント3:一番低い花は、「水面のちょっと上」くらいまで下げても大丈夫

上に貼った画像を見てください。一番手前の菊が、大分下に下がっています。このくらい低いところに花を入れると、安定感が増します。切るのが怖い人には難しいかもしれませんが、一度トライしてみると感覚がつかめます。
このくらいの「低さ」を作れないと、素人感丸出しの「棒立ちパターン」におちいることがよくあります。

 

ポイント4:シンメトリーを破ったほうが生け花的になる

水盤に生けるなら、完全なシンメトリーにはしないほうが、生け花らしく見えます。フラワーアレンジはシンメトリーをよしとしますが、いけばなは基本的にはアシンメトリーの美学を持っています。

 

ポイント5:花ものの長さは、全部同じにしない方が生けやすい

「でこぼこがある形=メリハリがある形」です。全部の花ものが同じ長さだと、メリハリがつくれず、何かが足りないと感じる花になることが多いです。

 

ポイント6:長い花材は切り分ける

上の画像の花で言うと、銀柳と千両を切り分けています。銀柳は4本に、千両は2本に分けていますが、切るのが不安な方は、「とりあえず二分割」と思って切ってみましょう。慣れれば、どこで切るのがいいか、自分なりの場所が見えてきます。

 

ポイント7:素人なら、「自分が良いと思った長さより、もうちょっと短めくらいに切る」とカッコイイ

素人さんが全員そうとは言いませんが、高い確率で、素人生けは「切り方が足りない」です。もう3センチ切る、くらいでちょうど良いことが多いです。

 

ポイント8:素人なら、「自分が良いと思った傾きより、もうちょっと花を寝かせる」くらいがカッコイイ

素人生けは、「棒立ち」であることがとても多いです。花を横に振る経験が少ないために、当然のようにそうなるのでしょう。
よって、「こんなに寝かせて大丈夫?」と思うくらい花を傾けたほうが、手慣れた感じに見えることになります。

上の画像の、左に入っている千両を見てください。角度で言うと、45度くらいの傾き方をしています。ここまで傾けても大丈夫なのです。(素人で、自分の判断で45度も倒せる人はほとんどいません)更に、一番手前の菊を見ると、もっと傾いています。一度、「おかしいかな?」と思うくらいに傾けてみてください。意外に、そのくらいがおさまりが良いのです。

次のページでは、水盤よりも深さのある、「鉢タイプ」の器に生ける例を紹介してみます。