当サイトの自由研究記事シリーズには、すでに栽培系自由研究の記事をアップしています。栽培系と観察系は、大いにかぶるところはありますが、イコールではありません。この記事では、一般的な「植物栽培系」とは、少し毛色の違う「植物観察系」の自由研究テーマを提供したいと思います。
一般的に、植物観察日記のメインになるイベントは、「開花」「結実」です。
しかし、そんなものには背を向け、夏中根っこの観察をするというのはどうでしょう。地上部分の成長とは全くかかわらないところで、ひたすらに地下の根っこを観察しては、スケッチしたりデジカメで画像データを作ったりします。
土で栽培すると、根っこの成長する様子が見られないので、水栽培か、透明なゼリーの栽培にすると良いでしょう。
小学校低学年くらいでは、このような一見地味な研究だと、本人がつまらないかもしれませんが、高学年~中学生にもなれば、このくらいの研究はアリです。複数の植物の根の成長を比べたり、同じ植物で少し栽培条件を変えたものの根の成長を比べると、さらに研究らしくなります。
「成長の観察」ではなく、ピンポイントに「発芽」だけを観察します。
植物の種に水を与え、発芽の様子を詳しくレポートしましょう。発芽の様子は、スケッチかデジカメ画像で記録します。一つの植物の発芽だけでも、「発芽レポート」は作れると思いますが、やる気があるなら、複数の植物の発芽をレポートしてみると、さらに高度な研究になります。
発芽が分かりやすく入手しやすいものは、スプラウト(種だけで売っています)と豆類です。スプラウトの水栽培容器で発芽観察すると、種が吸水してふくらみ、根っこや双葉が出てくる様子がよくわかります。同じことは、わざわざ水栽培容器を用意しなくても、お皿にコットンをしいた上に種を置き、水をやるだけでもできます。豆類も、同様に水栽培で発芽実験ができます。
スプラウトも、豆類も、スーパーで入手できます。豆類は、炒り豆でない限り、乾物コーナーにある小豆や大豆、紫豆などがちゃんと発芽します。
豆類も、スプラウトも、水をやってから発芽にいたるまでの時間が短いので(吸水の変化は、その日のうちに現れます)、発芽実験を始めたら、部屋の中の目に付く場所に置いて、「始まった」と思ったらすぐに観察しましょう。
発芽実験の良いところは、短期決戦で、飽きるヒマがあまりないところと、発芽さえ観察してしまえば、その後の栽培にどんなに失敗しても失うものが無いところです。
植物観察するとなると、「種を買ってこなくては」と思い込んでいる人が多いです。もちろん、それでも良いのですが、家にすでにある植物を観察するだけでも、いけないことなどありません。このときに、観察対象にしやすい植物が家にあると、非常に良いです。
「観察対象にしやすい」とはつまり、「何らかの動きがある植物」や、「変わった特徴がある植物」などがいいのです。要は、「なにこれ?」と思えるものを持った植物です。夏中見つめても、何の変化も面白みも無い、松の盆栽みたいな植物を選んだら、研究にまとめることは難しいのです。
では、具体的にどんな植物なら観察対象にしやすいかという例を下に挙げてみます。
ざっと考えただけでも、上記のような候補が出ます。上の項目に当てはまるような植物が、家にありませんか?
実を言えば、その気にさえなったら、どんな植物でも観察対象にはなるものです。上には、「松の盆栽ではさすがに難しい」などと書いてしまいましたが、私なら、家に松の盆栽があったとしたら、その自由研究をやってしまうと思います。
松の木肌は、なんでこんなにボコボコなんだろう?
盆栽の松と、地面に植わっている松の違いはなんだろう?
そもそも、この松の品種はなんというのか。どうやったら、品種の特定に至れるのか?
松って、花が咲くの?
松の枝の一部がべたべたするけど、これは何だろう?
盆栽の鉢はなんでこんなに薄くて大丈夫なのか。根っこはどうなってるの?
……というように、一鉢の中にこのくらいの注目ポイントを見つけることができれば、自由研究の体裁なんて簡単に整ってしまいます。
植物の中には、ほかの植物がしないような動きをするものがあります。そのような植物を入手して、「動き」のみに絞って観察します。
たとえば、以下のようなものです。
また、特に変わった動きではないですが、夜になると花や葉を閉じる植物も、昼と夜の姿の差をそれぞれ観察して自由研究にまとめることができます。
特別な場所、たとえば外国とか、高山とか、湿地とか、自分が普段生活している地域ではない場所に行くことがあるなら、その場所の植物を観察して絵やデジタル画像にし、研究にまとめることができます。
「特殊な場所」というのは、秘境みたいなところ、ということではありません。イギリスの公園にこんな雑草が生えてたとか、オーストラリアの海岸付近にはこんな雑草があったというのでも、立派な「自分の居住地域とは違う場所の植物」です。もしかしたら、日本でもこんな花は咲いてた気がする、と思っても、スケッチやデジカメ画像になってしまえば、それはもう「研究資料」です。海の向こうにも、タンポポは普通に咲いてました、でもいいではありませんか?
日本国内でも、都会と田舎では、見られる植物が違います。遠く離れた地方であれば、なおさらです。私は、現東京都民で、旧千葉県民ですが、東京と千葉では、やはり植物が違います。東京っ子が千葉に行けば、「見たことない植物」の取材ができるのです。
「ある場所」の植物を観察する、という意味では、自然の植物ではない「特定の場所の植物観察」というのでも良いです。植物園に行けば、妙な植物、びっくりするほどきれいな植物がたくさんあります。
この植物園には、こんな植物があった。その植物のために、こんな環境が作ってあった、花に接近して覗き込んだら、こんな風だった、同じ種類で品種の違うものは、こんなにあるものなのか。などなど、「ふーん」と思ったことを、全部観察テーマにしてしまえば、あっという間に提出資料になるものはそろいます。
これは、最近ではポピュラーな自由研究のようです。
花や実を、カエルの解剖よろしく、切り開いてパーツ分けし、それをスケッチするか、デジタル画像に残します。
花一本あれば簡単にできますし、あまり手間もかからず、器用でなくても誰でもできます。周りが汚れるような作業でもありません。ポピュラーになる自由研究テーマというのは、大体みんなそうなのですが、「簡単で、お金もかからず、誰でもそれらしく仕上がる」ものです。お花の解剖は、まさにそれです。
実際にお花の解剖を行っている画像を、付属ブログにアップしていますのでご参考に→自由研究ネタ:お花の解剖
花粉や、葉の裏の気孔を、顕微鏡で観察します。色々な植物の花粉だけを見るとか、何かしらのテーマを設けるといいですが、入手できる植物を片っ端から見ていくのも楽しい研究だと思います。
★観察系以外の自由研究は、こちらでチェック→夏休みの自由研究テーマ