花の情報局

誰でも正月花の体裁を整えられる方法……剣山を置くところから解説します

※普段は花バサミを持つことも無いような、まったくの素人の方向けの記事です。そこそこ自力で生けられる方には有益情報は多分無いです
※正月花を生けようと思っても、何から手を付けていいか分からない方は、どうぞご参考に

この記事は、「最低限、何とか正月花の格好を付けるための松の扱い」だけをテーマに書いています。
難しい技も、専門的道具も使わず、なるべく悩まずに生けられるようなヒントとなることを目指しました。なので、少しでも花を経験した人には物足らない記事ですので、あらかじめご了承ください。

主に使用する花材は、根引き松二本。大小セットで1200円の根引き松でした。ごく一般的な値段・大きさのものです。
器は、最もシンプルな丸水盤を使いました。

素人の方が生け易い、松を直立させるスタイルを考えていきますので、参考になさってください。
完全なる素人さんのために記事ですので、剣山の選び方から解説します。

 

目次 素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(1)……剣山の使い方

  1. 剣山は、大きめが安心
  2. 100均の剣山には限界がある
  3. 剣山が二つあるなら、とりあえず二つ出しておくといい
  4. 剣山は、どこに置いてもいい

剣山は、大きめが安心

全くの未経験で生けるなら、剣山は「大きすぎ?」と思うくらいがいいです。なぜなら、小さめの剣山だと、上に挿した花材の重さに引っ張られ、剣山ごと倒れることがあるからです。大きい剣山なら、重量がありますので、重い枝を挿しても重みに耐えてくれます。

もしも、手元に剣山が複数あるなら、一番大きいものを使いましょう。これから買おうと思っているなら、予算の範囲で買える、一番大きいものを買うのが無難です。
剣山の値段は、大きさに正比例なので、あまり大きいものを買うと結構なお値段になります。滅多に使わないのであれば、お金をかけるのは勿体無いですから、「許せる範囲の値段で、最大のサイズ」にしておきましょう。

手元にあるものが、豆剣山(直径3cm以下くらいのミニ剣山)だけの方は、松を立てて生けるのは難しいです。(松を、すごく小さく切ってしまえば、可能ですが)

ちなみに、この記事で例にする剣山は、こんな大きさにしました。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(1)……剣山の使い方

この剣山は、6×8.5cm。私の持っている剣山の中では、最大の大きさです。
つまり、そこそこ花の経験がある私でも、「最大の剣山を使おう」と思う重量があるのが松なのです。
(上の画像の剣山は黒塗り剣山です。今回は黒い器を選んだので、黒い剣山を入れて、水を張ったときに剣山が見えなくなるようにしましたが、素人の方はそこまで気を使わなくてもいいでしょう)

 

100均の剣山には限界がある

正月花を生けるというときに剣山が無く、新しく買ってくるなら、
「100均の剣山で十分だ」
と思う方もいるかもしれません。しかし、私の知る限り、100均に置いてある剣山は、よほど小型の正月花でないと役に立ちません。100円剣山は、松にはほぼ無力です。(100均剣山については、こちらに記事があります→100均の生け花用剣山の実力は?

100均の剣山は、たいてい直径4cmくらいの丸剣山です。このくらいの大きさだと、剣山自体に松を支える重さが無いのです。「刺さらない」のではなく、「刺さるけど剣山ごと倒れる」のです。

上の項をもう一度お読みください。「なるべく大きいものが良い。プロの私でも松には大型剣山が欲しいところ」と書いています。100均剣山で生けるくらいなら、剣山の要らない花瓶や壷に生けるほうが良いです。
松が一本でも入る正月花材で、水盤に生けるときには、100均剣山は全然頼りにならない、と思ってください。

 

剣山が二つあるなら、とりあえず二つ出しておくといい

上の項を参考に、花材を挿していく剣山を一つ用意して(いけばな的には、一つの花器の中に複数の剣山を置くこともありますが、ここではシンプルに一つ使います)、可能なら「サブ」の剣山をもう一個出しておくといいです。特に、メインに使おうと思っている剣山が軽めの場合は、サブの助けを借りられると便利です。

サブ剣山は、下の画像のような使い方で役立てられます。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(1)……剣山の使い方

メインの剣山に、ある一方向へ重量がかかったときに、剣山はその方向に倒れそうになることがあります。上の画像で言うなら、左に剣山が倒れそうになることがあるのです。そんなときに、倒れるのとは反対側にサブ剣山を下向きに噛ませて重しにします。
重たい枝などを生けるときには、大変有効な使い方です。

 

剣山は、どこに置いてもいい

いけばな流派には、各流それぞれに剣山位置に決まりがあると思いますが、そのような決まり事に関係なく生けるのであれば、どこでも、生ける人が「収まりが良い」と思ったところに置いて良いです。
すり鉢型の花器だと、そもそも真ん中にしか置けないようになっていますが、この記事の画像で使っているような水盤だと、平面の場所のどこにでも置けます。

「真ん中ではないのか?」と思う方もいると思いますが、真ん中にしか置けないものではありません。たとえば、この記事で例として貼っている正月花の画像は、剣山を左に寄せています。私が習っている草月流では、剣山を真ん中に置くのは「基本的にはNG」なので、私は自然にこうなってしまうのです。
そういうわけで、このサイトの中に、「剣山を水盤のど真ん中に置いた作例」はほぼ無いのですが、「じゃあどこに置けば?」と迷うくらいなら、ど真ん中に置いて生け始めましょう。

↓これで結構です!

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(1)……剣山の使い方

覚えておいても損は無いので書きますが、水盤の真ん中に剣山を置いて生けて、生け終えたときに、
「なんだか格好が良くない」
と思ったら、下の画像のように、剣山をどこかの隅に寄せてみると、意外に「シャキ!」と格好よくなることがあります。

素人の方向け:正月花の松を生けるヒント(1)……剣山の使い方

↑この画像では、たまたま左奥に寄せましたが、右でも、前でもどこでもいいのです。「ちょっと剣山を移動させてみると、意外に格好がつく」ということは、大変よくあることです。生け上げた後に剣山ごと移動させるだけなので、簡単にできます。

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