この記事は、素人の方向けであり、家にある器で手軽にお正月花の格好を付けたい方を対象とした記事です。
花装飾の専門的な勉強をされている方には、目新しい情報はありません。
「お正月花を生けようとしているのに、そもそも器をどうすべきかわからない」という方は、どうぞご覧になってください。
もし、家に「いかにも、お正月らしい」と見える器があるなら、それを使いましょう。別に、お正月花器として買ったものでなくても、「いかにもそれらしい」と思えるならOKです。
そして、毎年悪びれずにそれを使い続けても、まったく問題ありません。生ける当人が、
「そろそろ、この器も飽きてきた」
と思うなら別ですが、
「毎年一緒ではおかしい?」
などと気にすることなどありません。
むしろ、「毎年、この器を見るとお正月だなあと思う」くらいに、その家の定番のお正月アイテムになってしまうくらいで良いと思います。
「いかにもお正月」な花器が無い人は、以下の記事を参考にして、お正月花器を決めてみてください。
上の項に、「お正月らしい器」に生ければよしと書きましたが、では、どんな器がお正月らしいのでしょうか。
「お正月らしい」の範囲は結構広く、今家にある器が、この範囲に含まれている可能性はかなり高いと思います。「うちの、あの花瓶でも大丈夫!」と、改めて気付いてください。
以下のような要素のある器が、「お正月らしい」器に含まれます。
上記のような要素を、かなりゆるく解釈して、自由な器に生けるくらいで本当は良いと思います。
花飾りなど、「正式なものが分からない」「何を選べば良いのか分からない」と悩むほうがおかしいくらいのものなのです。
現代では、お正月飾りや初詣の習慣などは、ずいぶんフリースタイルになっているのですから、花もそれに合わせてフリースタイルにしていって悪いことなど無いはずです。
上の項の最後に書いた「フリースタイルでOK」にも通じるのですが、お正月の飾りだからといって、和風でなければいけないことはありません。
とりあえず、和風が無難と言えば無難ではあります。しかし、洋風建築に住み、おせちや、松飾がどんどん洋風化している中で、花だけが和風を保っていなければならない決まりは無いはずです。
おせちのメインがローストビーフであったりするように、初詣に普通に洋服で行くように、花と器も洋風でかまわないと思います。お祝いの雰囲気と、新たなスタートを切れる明るさのある花なら、和洋かかわりなく、ステキなお正月花器になるでしょう。
フリースタイルでいいのですから、器の形も、「絶対に水盤でないといけない」「壷でないとおかしい」などということはありません。
「普段使っている一輪挿しが1個あるだけ」でも、全く十分です。さすがに、完全に季節違いテイストの花瓶しか無いとすると厳しいですが、いわゆる「普通の一輪挿し」なら、まあOKだと思って大丈夫です。
一輪挿しだと、器に入る花の数が限られますから、数本の取り合わせで「お正月花」にする必要があります。(こちらの記事に小さい正月花の実例写真があります。技術不要の簡単なものです)
高価な器は、たしかにハレの場を演出しやすい場合があります。
しかし、家庭の正月花に、高級花器を使わねばならないと考えるのはバカバカしいことです。これから買おうと言うなら、100均の商品でも十分! 100均は、季節物のコーナーで、とても分かり易い正月グッズを並べることがありますので、それらしい花器を見つけられるかもしれません。
100円だと、さすがに花瓶は一輪挿しレベル、花器は手のひらに乗るミニサイズ、くらいのことが多いですが、むしろ、そのくらいの器の方が、悩まずに軽快に扱えます。(たっぷりした鉢型の器などは、色んな生け方ができるので、生け方に悩むことがあります。好きな人には、それも楽しみですけど)
このサイトの付属ブログには、このようなカテゴリがあります→花器:本当は食器 食器を花器に流用するのはよくあることでして、「もう食器には使わない」と思っている器があるなら、花器にして日の目を見せるほうが、器も喜ぶかもしれません。
花器にしやすい食器は、鉢・グラス・酒器・茶器などです。徳利などは、なかなか味の有る花器になります。
お正月花の花器としては、塗りみたいなものを使うと、いかにもそれらしい雰囲気が出せることがあります。塗り(もちろん本ものの塗りでなくてOK)の枡など、洒落た正月花器として良い雰囲気が出ます。
お菓子などのきれいな空き容器を、そのまま花器にすることもできます。和風な装飾のついたものや、自然素材を使ったもの・模ったものなどがうまく利用できます。
実例を出しますと、私は下のような容器をミニ花器として正月に使ったことがあります。
↑これは、水羊羹の容器でしたが、洗って取っておいて花器利用しました。「青竹を切ったもの」は、正月花の器としては定番です。本物の竹でないプラスチックの容器ですが、これに松を挿したらいかにも正月花用らしく使えます。(この器を使った実例はこちら→羊羹の空き容器に5分で生ける正月花)
正月花器が家に無ければ、手持ちの花器に水引とか正月テイストの小物などをつけて、独自の正月花器を仕立てるという方法もあります。自分で色々装飾を工夫することを楽しむタイプの人にはおすすめです。
難しく考えずに、簡単にできる例を出しますと、
上の花瓶は、本当はただの白い一輪挿しなのですが、首のところに鶴の形の水引を付けて「お正月仕様」にしてみました。
同じ器に、紅白のゴムひも(お菓子かお赤飯の箱についてたものです)をつけると、下の画像のようになります。
↑これに、松一本、花一本挿すだけでも、十分お正月花になります。
即席でお正月花器を手作りすることもできます。
下は、私が実際に使った「お正月花器」ですが、
これは、ジャムの空き瓶を、ラッピングペーパー・麻紐・水引で「なんとなくお正月風」に装飾したものです。
↓中には空き瓶が入っています。
作り方の手順は、こちらに書いてあります。瓶に紙と紐を巻いて、水引を貼り付けるだけでできる簡単なものです。
更に簡単にできるものとしては、下のようなものもあります。ただ、紅白ゴムを、瓶の口に巻いただけです。
キレートレモンの空き瓶に、紅白水引風のゴムひもをかけただけです。こちらのページに、花を生けた画像があります。
色を塗るのが面倒でないなら、空き缶に着色して、下のような「水盤的なもの」を作ることもできます。
この器は、シーチキンの空き缶で作ったもので、ブログで作った工程を記事にしています→シーチキン缶を超ミニ水盤に仕立てる
私が今まで見たところでは、壷型の器は、素人の方には生けるのが難しいです。
お正月花を生けるというと、押入れの奥から壷を引っ張り出してくる、という家もあるようですが、全くの素人さんには、壷のボリュームを受け止めるのは難しすぎます。
一般のお宅にある壷型の花器とは、たとえばこういうものなどですが、口もある程度広く、器自体にも強さがあり、花が貧弱に見える可能性が非常に高いです。
相当な量の花を挿せば、素人手でもまあまあ何とかなるかもしれませんが、器にふさわしい長さを見極めることも難しく、すべての花材が棒立ちになるか、反対に左右に倒れて真ん中が空いてしまう危険があり、素人の手には余ると考えた方が良いです。
(難しいとは思っていますが、なるべく簡単に壷いけした記事を一本だけ書きました→実例:なるべく簡単に、「つぼ」に生けてみた)